
サファリ・ラリー・ケニアの最終日は、木曜日の夕方にSS2として行なわれた「ムザビブ」の再走ステージとなるSS17に続き、「オセレンゴニ」と「ヘルズゲート」のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。5本のステージの合計距離は65.99kmでした。最終日は早朝から青空が広がりましたが、前日に強く降った雨の影響で湿っていたり、泥状になっている路面もありました。
前日、総合2位のオィット・タナック(ヒョンデ)に対し1分57.4秒という大きな差を築いた首位エバンスは、オープニングのSS17で4番手タイムを記録。既に十分なギャップがあるため、大きなリスクを負って攻める必要はなく、安定性と速さのバランスを上手くとりながらステージを走行し、2位タナクと1分9秒9差の今季2勝目を飾りました。 この結果、WRCキャンペーン3戦終了時点で過去最大のチャンピオンシップリードを築くことに成功しています。

スウェーデンでの優勝、モンテカルロ・ラリーでの準優勝と、勢いに乗ってアフリカ入りしたエヴァンス。 現在、ドライバーズランキングでは36ポイント差と圧倒的な優位に立っており、全14戦のうちの第3戦を終えた時点でタイトル争いのライバルたちとの差を大きく広げています。
木曜日にナイロビをスタートし、ケニアの容赦ない大地溝帯の奥深くへと続く4日間の過酷なルートで、エバンスの最新の成功は築かれました。 サファリの生々しいスペクタクルは、例年通り大観衆を魅了し、警察によると今年は25万人以上のファンがステージに並び、2024年の188,000人を上回ったそうです。
エバンスは金曜日の後半、序盤にトップを走っていたタナクがヒュンダイi20 Nラリー1のドライブシャフトの破損で遅れたため、変わってトップに躍り出ました。
しかし、トラブルのない走りとはほど遠いもので、ラリーの序盤でタイヤの空気圧低下やスピンを克服し、日曜日の最終レグでは電気系統の問題を慎重に対処。 終盤はタナクが差を詰めたが、エバンスは踏ん張り、コリン・マクレーとリチャード・バーンズに続く、サファリで勝利を収めた数少ないイギリス人ドライバーの仲間入りを果たしました。

Elfyn Evans
このラリーで優勝することができたのは、素晴らしいことです。まだ実感が湧きませんが、サファリ・ラリーで優勝するのは特別なことです。素晴らしいクルマを用意するために、一生懸命頑張ってくれたチームに感謝したいと思います。また、トヨタのこのラリーにおける輝かしい歴史のほんの一部に関わることができて、誇りに思います。非常に厳しい週末でしたし、自分たちが出場するようになってからは、最も過酷なサファリ・ラリーだったように思います。土曜日は天候が状況をさらに複雑にしました。最終日に、大きなリードを保ちながらフィニッシュを目指すのは、容易ではありませんでした。日曜日に追加ポイント獲得を狙うという誘惑もありましたが、このような状況ではクルマをフィニッシュまで運ぶことが何よりも重要だったので、最終的にとても満足しています。
タナクは、チームメイトでワールドチャンピオンのティエリー・ヌービルと2分22秒1差で表彰台に上りました。ヌービルのトラブルは金曜日に始まり、ギアボックス交換の遅れによる1分間のタイムペナルティ、さらに土曜日には、マシンの冷却パッケージのダメージを修復するためのジャンプスタートと遅刻によるペナルティが科せられました。紆余曲折はあったものの、ヒュンダイのダブル表彰台はサファリ史上最高の成績となりました。
一方、トヨタの1-2フィニッシュは、2度のワールドチャンピオンに輝いたカッレ・ロバンペラが土曜日の午後にリアサスペンションの損傷で2位から5位に急落するまでは可能性が高かった。 ロバンペラの不運は日曜日も続き、電気系統のトラブルでリタイア。チームメイトのエバンスに57ポイントの差をつけられてしまった。

勝田貴元は、複数のパンクや熱中症と戦いながら4位フィニッシュを目指していましたが、ウルフパワーステージで転倒、何とか走行を再開しタイムロスを喫しながらもフィニッシュラインを通過し、その時点では総合5位フィニッシュの可能性を残していました。しかし、タイムコントロールでクルマを前に進めることができなくなり、勝田とコ・ドライバーのジョンストンはクルマを押して何とかポディウムを通過。その後、サービスパークに設定されているタイムコントロールまでクルマを戻すべく修理を試みましたが、残念ながらリタイアとなりました。
勝田貴元のリタイヤにより同じトヨタドライバーのサミ・パジャリが4位に昇格。 一方、グレゴワール・ミュンスターはギアボックスのトラブルを乗り越え、Mスポーツ・フォード・プーマ・ラリー1を駆って5位でフィニッシュしました。
ガス・グリーンスミスは、SS18で転倒したヤン・ソランスに3分以上の差をつけてWRC2を制した。 また、パラグアイのファブリツィオ・ザルディバルが9位でWRC2の表彰台に登り、ジョシュ・マッケリーンがトップ10入りを果たしました。
WRC次戦は、4月24日から27日にかけて、スペインのカナリア島で行われる第4戦「ラリー・イスラス・カナリアス」です。WRC初開催となるこのイベントは、アフリカ大陸の北西、大西洋上にあるスペイン領カナリア諸島のグラン・カナリア島で行われるターマック(舗装路)ラリーであり、スペインでWRCが開催されるのは2022年以来初となります。ラリーの中心となるサービスパークはグラン・カナリア島のラス・パルマスに置かれ、その周辺のターマック・ロードが戦いの舞台となります。
Safari Rally Kenya Final Classification
1 | E. Evans | S. Martin | Toyota GR Yaris Rally1 | 4:20:03.8 |
2 | O. Tänak | M. Järveoja | Hyundai i20 N Rally1 | +1:09.9 |
3 | T. Neuville | M. Wydaeghe | Hyundai i20 N Rally1 | +3:32.0 |
4 | S. Pajari | M. Salminen | Toyota GR Yaris Rally1 | +7:18.7 |
5 | G. Munster | L. Louka | Ford Puma Rally1 | +11:35.3 |
6 | G. Greensmith | J. Andersson | Škoda Fabia RS | +14:11.6 |
7 | J. Solans | R. Sanjuan | Toyota GR Yaris | +17:26.6 |
8 | J. Serderidis | F. Miclotte | Ford Puma Rally1 | +28:45.5 |
9 | F. Zaldivar | M. Der Ohannesian | Škoda Fabia RS | +35:38.8 |
10 | J. McErlean | E. Treacy | Ford Puma Rally1 | +37:15.8 |
Super Sunday Classification – Safari Rally Kenya
1 | A. Fourmaux | 40:21.2 |
2 | T. Neuville | +1.9 |
3 | O. Tänak | +15.8 |
4 | E. Evans | +1:03.3 |
5 | J. McErlean | +1:17.1 |
2025 FIA World Rally Championship for Manufacturers’ Standings
After round 3
1 | Toyota Gazoo Racing World Rally Team | 148 |
2 | Hyundai Shell Mobis World Rally Team | 122 |
3 | M-Sport Ford World Rally Team | 47 |
4 | Toyota Gazoo Racing World Rally Team 2 | 25 |
2025 FIA World Rally Championship for Drivers’ Standings
After round 3