WRC2世界チャンピオンのエミル・リンドホルム選手が、半世紀前に生まれたシュコダのカスタマー向けラリーカー「120 S Rallye」を運転しました。現在の主力マシン「Fabia RS Rally2」と比べて、どこが似ていて、どこが違うのか。その感想がとても興味深い内容になっています。
カスタマープログラムの原点は1970年代にあり

シュコダ・ファビアRS Rally2は、すでに数万回を超えるラリースタートを記録しています。その成功の大きな理由が、シュコダ・モータースポーツのカスタマープログラムです。世界中のプライベーターチームが車両を注文でき、購入後もパーツ供給やセットアップ支援が続く手厚い体制が整っています。
この伝統のルーツは1970年代に遡ります。当時のシュコダ100をベースにした「110 L Rallye」がすでにプライベート選手向けに提供されていました。その後継として登場し、より広く知られるようになったのが「120 S Rallye」です。FIA国際規定の1,300ccクラスに適合するホモロゲーションを取得し、アマチュアから本格的な競技者まで多くのドライバーに支持されました。
バンパーなしの独特なスタイルと、ターボなしで120馬力

リンドホルム選手が試乗したのは、シュコダ・ミュージアム所蔵の120 S Rallyeです。彼はこう語っています。
「バンパーなしでホモロゲーションされたため、とても独特なルックスになっています。特に気に入っているのはエンジンです。排気量は1.3リッター未満なのに、ターボなしで最大120馬力を引き出しています」

現代のラリーカーに比べると市販車由来の部品(ペダルやシフトレバーなど)が多く残っていますが、バケットシートと強固なロールケージはしっかり装備され、競技に必要な基本はしっかり備わっています。

「全身運動」だった当時の走りと、現代マシンの予測しやすさ
実際にステアリングを握ったリンドホルム選手の感想はこうです。
「120 S Rallyeを運転するのはとても濃密な体験です。限界まで攻め込むには、心と勇気を振り絞る必要があります。全身を使ったワークアウトのような感覚で、ボディシェルの動きを一つひとつ感じ取れる。本当に楽しい」
一方、現代のFabia RS Rally2に乗り換えると印象は一変します。
「エンジン、四輪駆動システム、ブレーキはどれも世界トップクラス。運転しやすく、非常に予測しやすい」
すでに300台が顧客の手元に渡っているこのマシンは、ステージ上でも顧客プログラムとしても大きな成功を収めています。
50年経っても変わらない“シュコダらしさ”
最後にリンドホルム選手は、両車の共通点をこうまとめました。
「どちらのクルマも共通点が多い。120 S Rallyeはさまざまなドライビングスタイルの選手に合い、信頼性が高く、耐久性に優れ、とても人気がありました。今のFabia RS Rally2も同じです。その部分は何も変わっていないし、これからも変わらないでしょう」
半世紀の時を超えても、「信頼できる」「壊れにくい」「誰でも扱いやすい」というシュコダのラリーカーのDNAは、しっかり受け継がれています。カスタマープログラムの歴史を象徴する一台と、現在の主力マシンを同じドライバーが乗り比べたことで、その連続性が改めて浮き彫りになりました。
シュコダ・モータースポーツのカスタマー向け活動は、1970年代から今日まで脈々と続いています。これからも世界中のプライベーターが、この「変わらぬ魅力」を武器にステージを駆け抜けていくことでしょう。