2020年のWRCは新型コロナウイルスの影響により年間カレンダーが大きく変わり、ラリー・モンツァも新たに加わったイベントのひとつで、シーズン最終戦としてタイトルを決定する重要な1戦となります。ラリー・モンツァの初開催は1978年と長い歴史を誇り、これまで多くのモータースポーツイベントがシーズンオフに入る11月の終わりに開催されてきました。バイクレースの世界王者など多くのゲストドライバーが出場するイベント色の強いラリーとして人気があり、ラリードライバー以外の選手が優勝したこともありました。今シーズンはWRCの1戦として開催されることになり、主催者は大幅にステージを変更し、WRCの最終戦にふさわしい本格的なターマックラリーへと進化しました。
ラリーのメイン会場となるのは、F1世界選手権でも使われてきたモンツァ・サーキットです。イタリア北部、ロンバルディア州にあるこのサーキットは、ミラノの北東約15kmに広がる美しい国立公園内にあります。1922年に完成した非常に古いサーキットであり、以前はロードコースとオーバルコースのふたつがレースで使われていました。ラリー・モンツァではバンクがついたオーバルコースの一部もステージとして走行します。12月の北イタリアは気温が低く、特に高所の山岳地帯では路面温度が上がりにくいためタイヤのグリップ力が充分に発揮されない可能性もあります。また、降雨、泥、落ち葉などによってコンディションが悪化することも考えられ、難しい路面での戦いとなることが予想されます。
昨年までのモンツァ・ラリー・ショーでは、サーキットおよびサーキット内のサービスロードのみをステージとして使用していました。しかし、WRCとして開催される今年はサーキット外にもステージが設けられ、ロンバルディア州ベルガモの北側に展開する山岳道路でもステージが行なわれます。ラリーは12月3日木曜日の午後にサーキットで開幕し、4.33kmのショートステージを1本走行します。4日金曜日はサーキット内で5本計69.61kmのステージが行なわれますが、その一部にはグラベル(未舗装路)の路面も含まれます。5日土曜日はサーキットを離れ、ベルガモ北部の山岳地帯で3本のステージを各2回走行。その後サーキット内で1本のステージを走ります。土曜日の合計ステージ距離は126.95kmと長く、ラリー全体の半分以上を占めます。そして、最終日の6日日曜日は再びサーキット内が舞台となり、3本計40.25kmのステージを走行。最終のSS16は、トップ5 タイムを記録した選手に対しボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。4日間で16本のステージを走行し、その合計距離は241.14km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は513.90kmとなっています。