WRC RALLY FINLAND 2023 DAY3 : タイトルを狙うエバンス
ラリー・フィンランドの最終日は、前日と同様サービスパークの南西エリアが戦いの舞台となり、「モクシ-サーロイネン」と「ヒモス-ヤムサ」という2本のステージを、ミッドデイサービスを挟むことなく各2回走行。4本のステージの合計距離は51.64kmでした。最終日は早朝から雲間に青空が見えるなど、久々に降雨のない爽やかな一日に。気温も23度前後まで上昇しました。それでも、依然湿り気を帯びた路面も多く残り、最後まで気の抜けないコンディションでの戦いとなりました。
エバンスは金曜日の午後、チームメイトのカッレ・ロバンペラがクラッシュしたことでトップに浮上。さらに日曜日には、トヨタGRヤリスを駆って39.1秒差で優勝、またパワー・ステージでも最大ポイントを獲得。今年のFIA世界ラリー選手権タイトル争いのチャンスをキープしました。
エバンスの所属するトヨタ・ガズー・レーシングは開催地のユヴァスキュラ近郊を本拠地としており、この勝利でHyundai Motorsportに対するマニュファクチャラーズ選手権のリードを67ポイントに広げた。
変わりやすいコンディションの中、今季最速の路面での激しいバトルが繰り広げられ、序盤から追い上げていたタナクとラッピがロバンペラとともに金曜のリタイアリストに加わりました。エンジントラブルでタナクのMスポーツ・フォード・プーマはリタイア、ラッピはヒュンダイを木に衝突させてしまいました。
ヌービルはフィンランドのフラットな路面で得意とする走りを見せましたが、エヴァンスのハイペースには歯が立ちませんでした。第9戦を終えてランキング3位をキープするヌービルは、後方の勝田貴元のトヨタに57.6秒の大差をつけてゴール。
勝田はヒュンダイのライバル、テーム・スニネンと執拗に競り合った。スニネンは、4ステージのファイナルでスペアホイールを積まないという軽量化を敢行しましたが、勝田は4.3秒差で4度目の表彰台を獲得しました。
トヨタのチーム代表であるヤリ-マティ・ラトバラは、3年以上ぶりにトップレベルの戦いに復帰した。表彰台争いに加わることはなかったが、安定した走りで総合5位を獲得しました。
また、シュコダ・ファビアRSラリー2を駆るオリバー・ソルベルグが、WRC2優勝のサミ・パヤリを抑えて総合6位に入りました。8位にはWRC2準優勝のアドリアン・フルモーが入り、ニコライ・グリャジンとアンドレアス・ミケルセンがトップ10に入りました。
Elfyn Evans
我々にとって素晴らしい週末になり、このラリーで2回目の優勝を飾ることができたので特別な気分です。フィンランドは大好きなラリーのひとつですし、ユバスキュラにファクトリーを構えるチームにとってはホームラリーでもあります。また、この週末に章男さんと一緒に優勝し、彼や貴元と一緒に表彰台に立てたのも特別なことです。この道でこのクルマを走らせるのは素晴らしい経験で、運転を楽しむことができましたし、ラリー序盤からとてもいいフィーリングで走ることができました。金曜日にカッレが戦列を去ったのは残念でしたが、土曜日に向けて少しずつセットアップを進めることができ、それが大きな自信に繋がりました。全てのことが上手く行き、ステージのタイムも自然に上がって行きました。チャンピオンシップの面でもポジティブな週末になり、カッレとのポイント差を以前よりも少し縮めることができました。
Thierry Neuville
ラリー・フィンランドでの10年間の苦闘の後、再び表彰台に上れたことは大きな安堵だ。これはチームと現在進行中の変化が正しい方向に向かっていることを示している。これは明らかに、われわれが前進しなければならないというサインだと思う。今週末はかなり疲れたから、少し休みが取れてうれしい。チームに感謝している
Takamoto Katsuta
自分にとって第二のホームイベントである、ラリー・フィンランドで表彰台に立つことができて本当に嬉しいです。自分にとっても、チームにとっても、そして章男さんにとっても大きな意味を持つことです。章男さんは僕に大きなエネルギーとモチベーションを与えてくれて、それがテーム(スニネン)との激しいバトルを続ける中で助けになりました。テームは本当にいい仕事をしていたので、決して簡単ではありませんでしたが、コンディションがトリッキーだった土曜日の最後にギャップを築くことができたので、最終日のストレスは少し軽減されました。ラリー・エストニアの後、チームのエンジニアたちと一緒に、どこを改善すればいいかを一生懸命分析し、その結果、金曜日の朝からいいパフォーマンスを発揮することができました。また、テストの時にフィンランドの道を上手く走るためのアドバイスをくれた、カッレにも感謝しなければなりません。
Akio Toyoda as Chairman of TGR-WRT
我々が目指すのはドライバーファーストのチームです。しかし、チーム代表のヤリ-マティが知っているクルマは今までヤリスWRCだけでした。ドライバーたちが乗っているGR YARIS Rally1 HYBRIDには乗っていません。チャンスがあればGR YARIS Rally1 HYBRIDをヤリ-マティにドライブしてもらいたいとずっと考えていました。やっとそれが叶い、ヤリ-マティはドライバー仲間のユホと共に全てのステージを走り切ってくれました。彼らはずっと笑顔で走っているように見えました。しかし、きっとそうじゃない瞬間もあったはずです。ドライバーがずっと笑顔で気持ちよく走れるクルマを、これからもヤリ-マティ達と一緒につくっていきたいと思います。
WRC次戦は、9月7日(木)から10日(日)にかけて、ギリシャで開催される第10戦「アクロポリス・ラリー・ギリシャ」です。2021年にWRCのシリーズに復帰したこのイベントは、1951年に初めて開催され、WRC初年度の1973年からシリーズの一戦に組み込まれた伝統的なグラベル(未舗装路)ラリーです。路面はここ2戦のスムースでフラットなグラベルから一変。大きな石が転がる山岳ステージはかなり路面が荒れているところも多く、通常は気温もかなり高いため、クルマにもタイヤにも選手にも厳しい「ラフグラベル・ラリー」として知られています。
Final Overall Classification –Rally Finland
1 | E. Evans | S. Martin | Toyota GR Yaris Rally1 Hybrid | 2:33:11.3 |
2 | T. Neuville | M. Wydaeghe | Hyundai i20 N Rally1 Hybrid | +39.1 |
3 | T. Katsuta | A. Johnston | Toyota GR Yaris Rally1 Hybrid | +1:36.7 |
4 | T. Suninen | M. Markkula | Hyundai i20 N Rally1 Hybrid | +1:41.0 |
5 | J. M. Latvala | J. Hänninen | Toyota GR Yaris Rally1 Hybrid | +4:09.4 |
6 | O. Solberg | E. Edmondson | Škoda Fabia RS | +9:33.6 |
7 | S. Pajari | E. Mälkönen | Škoda Fabia RS | +10:03.7 |
8 | A. Fourmaux | A. Coria | Ford Fiesta Mk II | +10:37.5 |
9 | N. Gryazin | K. Aleksandrov | Škoda Fabia RS | +11:11.5 |
10 | A. Mikkelsen | T. Eriksen | Škoda Fabia RS | +11:35.2 |
2023 FIA World Rally Championship for Manufacturers’ Standings
After round 9
1 | Toyota Gazoo Racing World Rally Team | 378 |
2 | Hyundai Shell Mobis World Rally Team | 311 |
3 | M-Sport Ford World Rally Team | 205 |
2023 FIA World Rally Championship for Drivers’ Standings
After round 9
1 | K. Rovanperä | 170 |
2 | E. Evans | 145 |
3 | T. Neuville | 134 |
4 | O. Tänak | 104 |
5 | S. Ogier | 98 |
6 | E. Lappi | 87 |
7 | T. Katsuta | 58 |
8 | D. Sordo | 46 |
9 | T. Suninen | 34 |
10 | P.L Loubet | 28 |