WRC Acropolis Rally Greece 2023 DAY1
WRCの一戦に復帰して今年で3年目を迎えるアクロポリス・ラリー・ギリシャは、1951年に初開催された長い伝統を誇るイベントです。アクロポリス・ラリーは山岳地帯の荒れたグラベル(未舗装路)ステージが主舞台となり、通常この時期は気温が高くドライコンディションでの戦いになります。今年も8月下旬は雨が降らず非常に暑い日が続いていましたが、ラリーウィークに入ると天気は一変。サービスパークが置かれるラミアの周辺は大雨に見舞われ、選手達は豪雨で路面が泥状になり、大きな水溜まりができたステージでレッキ(ステージの事前下見走行)を行なうことになりました。雨の影響はラリー全体のスケジュールにも大きな影響を及ぼし、7日(木)の午前中に予定されていたシェイクダウンは天候の悪化により中止に。また、日曜日に走行するSS14/15「グラムメニ」は、ステージの走行距離が19.77kmから9kmに短縮され、全SSの合計走行距離は当初の307.89kmから、286.35kmへと20km以上短くなりました。
シェイクダウンでクルマのフィーリングを確認することなくラリーをスタートした選手達は、ラミアから南に約200km離れた、アテネのアクロポリスでセレモニアルスタートに参加。その後、ウォーターフロントに設けられた市街地ステージで夜7時過ぎからSS1として最初の走行を行い、全長1.48kmのスーパーSSで2021年大会の勝者ロバンペラがベストタイムを記録し、首位に。
8日(金)の朝からグラベル(未舗装路)ステージでの本格的な戦いがスタート。ビーチリゾートのルートラキを起点に5本合計101.98kmのステージが予定されていましたが、路面コンディションの悪化等によりSS2/4「ルートラキ」は18.10kmから10.37kmに短縮され、一日の合計ステージ距離は86.52kmとなりました。
ルートラキ周辺で週の前半に降り続いた強い雨は過ぎ去りましたが、その影響で路面コンディションは大幅に悪化。雨で砂が流されたところでは大きな石が露出し、深い轍も刻まれました。また、路面はぬかるんでいるところもあれば、乾き始めているところもあり、ドライバーたちは様々な路面コンディションに対峙することに。その結果タイヤ選択も難しくなり、通常であれば暑くドライなコンディションでハードタイヤが主役を担うところでしたが、雨により状況が大きく変化。供給本数が少ない、オプション扱いのソフトタイヤがマッチする路面も少なくなく、ラリー全体を考えての運用も重要な要素となりました。
初日を首位で終えたのはヌービル。理想的とはいえない準備にもかかわらず、ヌービルはSS2ルトラキ1でラリーの主導権を握り、短縮された山岳ルートでステージ優勝とトップの両方を獲得。続くステージでも2番手タイムをハットトリックしましたが、特に目を引いたのはSS5リヴァディアでのパフォーマンス。ヒュンダイi20 Nラリー1ハイブリッドに4本のソフトタイヤを装着し、このステージで従来の3倍となる5秒以上の差をつけることに成功。しかし、最終ステージのSS6エラティアでメカニカルトラブルに見舞われタイムロスしてしまいました。
Thierry Neuville
“最終ステージはストレスの多いものだった。28kmという難しいステージだっただけでなく、スタート直後からリアデフから異音が聞こえていた。それまでのステージでもトランスミッションに問題を抱えていたが、SS6エラティアまではスタートラインに立っただけだった。最初の3速は全開で走ることができず、タイムをロスしてしまった。最後まで走りきれるか少し心配だったが、幸いにも走りきることができた。今、僕らにとって難しいのは明日のタイヤ選択で、午前中は対応する機会がないから、今夜決断する必要がある。それがラリーで勝つための良い選択だったかどうかは、週末が終わってみなければわからない”
TOYOTA 勢では、オジエが総合2位に、ロバンペラが総合3位に、エバンスが総合4位、勝田貴元は、総合6位につけていて、ラリー北海道参加のため欠席のラトバラに替わりサポーティングディレクターのカイリンドストロームがチーム代表を代行しているようです。
9月9日(土)は、ラミアのサービスパークを中心に、南側のエリアで3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。そのうちSS8/11「カロウテス」は、昨年の「ボーキサイツ」のステージを延長して進行方向を逆にしたダウンヒルコースとなり、その全長は28.49kmと今大会最長のステージとなります。デイ3の6本のステージの合計距離は141.52kmに達し、4日間で最長の一日になります。
1 Thierry Neuville/Martijn Wydaeghe (Hyundai i20 N Rally1 HYBRID) 55m10.4s
2 Sébastien Ogier/Vincent Landais (Toyota GR YARIS Rally1 HYBRID) +2.8s
3 Kalle Rovanperä/Jonne Halttunen (Toyota GR YARIS Rally1 HYBRID) +25.5s
4 Elfyn Evans/Scott Martin (Toyota GR YARIS Rally1 HYBRID) +31.0s
5 Esapekka Lappi/Janne Ferm (Hyundai i20 N Rally1 HYBRID) +32.1s
6 Takamoto Katsuta/Aaron Johnston (Toyota GR YARIS Rally1 HYBRID) +41.7s
7 Dani Sordo/Cándido Carrera (Hyundai i20 N Rally1 HYBRID) +48.6s
8 Nikolay Gryazin/Konstantin Aleksandrov (Škoda Fabia RS Rally2) +3m16.7s
9 Ott Tänak/Martin Järveoja (Ford Puma Rally1 HYBRID) +3m34.5s
10 Yohan Rossel/Arnaud Dunand (Citroën C3 Rally2) +3m46.3s