
伝統的なシーズン開幕戦への挑戦
2026年のFIA世界ラリー選手権(WRC)は、全14戦のスケジュールで幕を開けます。開幕戦となるラリー・モンテカルロは、1月22日(木)から25日(日)まで、モナコとフランスの山岳地帯を舞台に開催されます。この伝統あるイベントは、基本的にターマック(舗装路)ですが、降雪や凍結路が混在する予測不能なコンディションが特徴で、タイヤ選択が勝敗を分ける鍵となります。全17ステージの競技距離は339.15km、リエゾン区間を含む総走行距離は1553.22kmに及びます。今年のハイライトは、2008年以来となるモナコ市街地のグランプリコースを一部使用したスーパーSSの復活です。各マニュファクチャラーチームは、改良されたRally1マシンでタイトル防衛や奪取を目指し、激しい戦いを繰り広げます。
2026シーズン開幕に伴い、トヨタ、ヒュンダイ、Mスポーツ・フォードの3チームのエントリー状況、車両アップデート、ドライバーの意気込みをまとめます。
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team

トヨタは、2025年にマニュファクチャラーズタイトルを5年連続で獲得し、ドライバーズタイトルでもセバスチャン・オジエが史上最多タイの9回目を達成した勢いを活かし、2026年も全タイトルの防衛を目指します。車両は改良型のGR YARIS Rally1で、新たなレッド、ホワイト、ブラックのカラーリングを採用。空力面では新しいリヤウイングを装着し、サスペンションもセットアップの幅を広げる新パーツを導入しました。ラリー・モンテカルロには5台をエントリー:エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(1号車)、オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組(99号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)、サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(5号車)です。オジエは地元開催で通算10勝目を挙げており、エバンスも過去に複数回の表彰台を経験。ソルベルグはRally1初のモンテカルロ出場ながら、昨年のWRC2チャンピオンとして期待されます。勝田とパヤリは安定した成績向上を目指します。また、若手育成プログラムから山本雄紀がGR Yaris Rally2で参戦します。
チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは、「新しいシーズンの開幕は常に胸躍るもの。各チームのレベルを観察するのは興味深い。GR YARIS Rally1は強力に仕上がったが、ライバルも改良を重ねている。モンテカルロは難易度が高いが、表彰台に立てば報われる」と語っています。オジエは「昨年の成果を祝ったが、今はゼロからのスタート。重要なラリーで10回目の優勝を目指す」と意欲的です。ソルベルグは「トヨタのRally1ドライバーとしてスタートできるのは夢のよう。トリッキーなモンテカルロを楽しみにしている」と述べています。
Hyundai Shell Mobis World Rally Team

ヒュンダイは、2020年と2024年にモンテカルロで勝利した実績を基に、2026年シーズンの好スタートを狙います。車両はHyundai i20 N Rally1で、開幕戦限定の特別liveryを採用。これはフランスのモータースポーツをテーマにしたグラフィックノベル風のコミックスタイルで、ラリーの精神を表現しています。エントリーは3台:ティエリー・ヌービル/マルティン・ウィダエゲ組、アドリアン・フルモー/アレクサンドル・コリア組、ヘイデン・パドン/ジョン・ケナード組です。ヌービルとフルモーはフル参戦クルーで、パドンは8年ぶりの復帰としてローテーションクルーの一員。チームは徹底した事前テストで、混合コンディションへの対応を強化しました。
WRCスポーツディレクターのアンドリュー・ウィートリーは、「成功したテストの後、限界までプッシュして競争力を発揮したい。条件が厳しい今年は準備が鍵。タイヤ選択の正誤が勝敗を分ける」と強調。ヌービルは「モンテカルロは厳しいスタートだが、興奮する。車の信頼性が重要で、3度目の勝利を目指す」と語ります。フルモーは「混合条件の激しさが独特。勝利を狙うならここだ」と意気込み、パドンは「神経質だが興奮する。完走してリーダーをサポートする」と慎重です。チーム全体として、ドライバーズとマニュファクチャラーズタイトルの両方を追います。
M-Sport Ford World Rally Team

Mスポーツ・フォードは、2026年が現行Rally1規定の最終年となる中、Ford Puma Rally1の最終バージョンを投入します。カラーリングを一新し、2025年のパープルからホワイト、グリーン、ブルーの鮮やかなデザインに変更。Red Bullのブランディングも継続します。モンテカルロには3台をエントリー:グレゴワール・ミュンスター/ルイ・ルカ組(13号車)、ジョシュア・マクエルラン/イーオン・トレイシー組(55号車)、ジョン・アームストロング/シェーン・バーン組(95号車)です。マクエルランとアームストロングは全14戦に出場予定で、アームストロングは新加入。ミュンスターはモンテカルロ限定の出場と見られます。また、マルティン・セスクスはスウェーデン戦から参戦予定です。チームはアンダードッグとして、予測不能なコンディションを活かした活躍を狙います。
チームは事前テストで雪や氷の路面を重点的に検証し、勇敢さと適応力を武器に表彰台を狙います。モンテカルロの混沌とした状況で、Mスポーツの経験が光る可能性があります。ドライバー陣は野心的で、アームストロングはテストで好感触を得ており、「良い一年になるようポディウムを狙う」との声が上がっています。チーム全体として、安定したパフォーマンスで上位争いに食い込むことを目標に掲げています。
まとめと展望
ラリー・モンテカルロは、各チームの準備と適応力が試されるシーズン最初の試金石です。トヨタの層の厚さ、ヒュンダイの勝利経験、Mスポーツの粘り強さが交錯し、激戦が予想されます。コンディションの変化がドラマを生む中、どのチームが最初の栄冠を手にするか注目です。
過去5年のラリー・モンテカルロ優勝者(WRC総合)
| 年 | ドライバー | コ・ドライバー | マシン名 | チーム / マニュファクチャラー |
|---|---|---|---|---|
| 2025 | Sébastien Ogier | Vincent Landais | GR Yaris Rally1 | Toyota Gazoo Racing WRT |
| 2024 | Thierry Neuville | Martijn Wydaeghe | i20 N Rally1 | Hyundai Shell Mobis WRT |
| 2023 | Sébastien Ogier | Vincent Landais | GR Yaris Rally1 | Toyota Gazoo Racing WRT |
| 2022 | Sébastien Loeb | Isabelle Galmiche | Ford Puma Rally1 | M-Sport Ford WRT |
| 2021 | Sébastien Ogier | Julien Ingrassia | Toyota Yaris WRC | Toyota Gazoo Racing WRT |
データ出典:WRC公式、eWRC-results.com 等(2026年1月時点)
WRC Rally Monte-Carlo 2026 ステージガイド
2026年のラリー・モンテカルロは、モナコ湾がスタートおよびフィニッシュ地点となり、2008年以来初めて、モナコ市街地のグランプリコースの一部を使用するスーパーSSが組み込まれたことが大きなトピックです。
ラリーはまず、1月21日の水曜日にサービスパークが置かれるギャップの近郊でシェイクダウンが行なわれ、22日の木曜日から競技がスタートします。モナコでのセレモニアルスタートに続き、ギャップを目指しながらデイ1として3本のステージを走行。そのうちSS2とSS3は、日没後のステージとなります。
23日金曜日のデイ2は、ギャップの西側エリアで、3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は128.88kmに達し、4日間で最長の一日となります。
24日土曜日のデイ3は、午前中に今大会最長となる29.93kmのSS10と、SS3の再走となるSS11を走行。ギャップでのサービスを経て、午後はSS10の再走ステージとなるSS12を走行します。その後、選手たちはモナコを目指し、リモートサービスを経て18時35分から全長2.69kmの市街地ステージ「モナコ・サーキット」に挑み一日を終えます。
最終日となる25日の日曜日は、デイ4としてモナコを起点に、2本のステージをフランスの山岳地帯で2回走行。そのうちSS14とSS17は有名なチュリニ峠のコーナーを含むステージであり、最終のSS17はボーナスポイントの獲得が可能な「パワーステージ」に指定されています。ラリーは4日間で17本のステージを走行し、その合計距離は339.15km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1553.22kmが予定されています。



