エルフィン・エバンスが最終ステージでの劇的な展開を経て、キャリア初となるWRCドライバーズタイトルを獲得しました。首位のオリバー・ソルベルグがフィニッシュ目前でコースオフしたことで、エバンスが5ポイント差で選手権リードを守り切りました。
あわせてTOYOTA GAZOO Racing WRTは今シーズンの全タイトルを獲得しました。また、総合2位となったセバスチャン・オジエが通算121回目の表彰台に登り、WRC最多記録を更新する快挙も達成されました。
アルゲーロ周辺は朝から良い天気に恵まれ、気温は28度前後まで上昇。ステージはドライコンディションが保たれましたが、2回目の走行ではラリーカーによって掘り起こされた多くの石や岩が路面に散らばり、パンクの危険性が非常に高い状態での走行となりました。サービスパークの北から北東にかけてのエリアで2本の定番ステージを、タイヤフィッティングゾーンでの軽整備作業のみで各2回走行。そのうちSS15の再走となる最終のSS17「サッサリ-アルジェンティエラ2」は、トップ5のタイムを記録した選手とマニュファクチャラーにボーナスの選手権ポイントが与えられるパワーステージに指定されました。
ドライバーズタイトル獲得の可能性があるポイントリーダーのエルフィン・エバンス、それを17ポイント差で追うサミ・パヤリ、21ポイント差で追うオリバー・ソルベルグの戦いは、最終日を迎えさらにヒートアップ。総合順位によるポイントに加え、日曜日のみの合計タイムによって競われるスーパーサンデーのポイント、そして最終ステージのトップ5順位が対象となるパワーステージのポイントがボーナスとして得られることから、最後のステージまで緊張感のある戦いが続きました。

デイ3で首位に立ち、バーチャル上の選手権ポイントでは1位エバンスと6ポイント差のランキング2位となったソルベルグは、デイ4オープニングのSS14でベストタイムを記録。総合2位につけるセバスチャン・オジエとの差を52.4秒、総合3位のパヤリとの差を1分47.7秒に広げました。続くSS15でも上位の順位は変わらず、エバンスは3番手タイムで総合5位をキープ。ソルベルグはスーパーサンデーでも首位に立ち続け、この時点でのバーチャル選手権ポイントでは、ランキング首位エバンスと2位ソルベルグの差は3ポイントまで縮まりました。
再走ステージの1本目、SS16ではエバンスがタイヤにダメージを負い、交換作業で2分程度をロス。総合5位は守りましたが、スーパーサンデーでは4位からポイント圏外の12位へと後退しました。一方、3番手タイムでステージを走破したソルベルグは首位とスーパーサンデー1位の座をキープ。この時点でのバーチャル上の選手権ポイントではエバンスが首位を守るも、2位ソルベルグが1ポイント差で迫り、このステージでベストタイムを記録しスーパーサンデー2位につけるパヤリが8ポイント差で3位となりました。
そして迎えた最終のパワーステージは、事実上エバンスとソルベルグの戦いに。1ポイントを懸けた最後のバトルが繰り広げられました。3人の中ではまずエバンスが最初にステージをフィニッシュし、その時点での2番手タイムを記録しました。続いてパヤリがエバンスを上回る2番手のタイムでステージを走破。そして最後にスタートしたソルベルグは、最後の区間タイムではエバンスを1.9秒上回っていました。ところが、フィニッシュ目前でコースオフを喫し、大幅にタイムを失い8番手のタイムでフィニッシュ。エバンスが3番手タイムだったことに加え、スーパーサンデーでもソルベルグがパヤリに次ぐ2位に終わったことから、エバンスが5ポイント差で選手権のリードを守り切り、コ・ドライバーのスコット・マーティンと共にキャリア初となるワールドチャンピオンに輝きました。
エバンスは2017年に地元ウェールズ開催のラリーGBでWRC初優勝を飾り、2020年TGR-WRTに加入。その年からの6シーズンで5回、ドライバー選手権2位を獲得してきました。そして今シーズンは第2戦ラリー・スウェーデンと第7戦ラリージャパンで優勝。シーズン後半に続いたグラベルラリーでは、選手権リーダーとして不利な出走順トップでステージを走り続けてきましたが、そのような厳しい状況でも確実にポイントを積み重ね、ドライバー選手権首位の座を最後まで守り続けました。
エバンスはウェールズ出身のドライバーとして初めて世界王者に輝き、スコットランド出身のコリン・マクレー、イングランド出身のリチャード・バーンズに続く3人目のイギリス人WRCチャンピオンとなりました。また、マーティンはイングランド出身者として初めてWRCコ・ドライバーズ・タイトルを獲得。デビッド・リチャーズ(ウェールズ)、デレク・リンガー(スコットランド)、ロバート・レイド(スコットランド)、フィル・ミルズ(ウェールズ)に続く、5人目のイギリス人WRCコ・ドライバー王者となりました。
なお、TGR-WRTのクルーが世界チャンピオンとなったのは、過去8年間で7回目となります。チームは前戦のラリー・チリ・ビオビオで既にマニュファクチャラーズタイトルを決めていましたが、獲得可能な3つのタイトルを全て制したのは、6年間で5回目となります。

ソルベルグは、タイトル争いに敗れはしましたが、TGR-WRTでのフル参戦初年度の今年、第1戦ラリー・モンテカルロ、第12戦ラリー・チリ・ビオビオ、そして今回のサルディニアと、シーズン3勝をマーク。今シーズン誰よりも多くのステージ優勝を獲得し、最終戦の最後のステージまで激しくタイトルを争い、エリオット・エドモンドソンと共にキャリア最高位となるドライバーおよびコ・ドライバー選手権2位で、初のトップカテゴリーフルシーズン参戦を終えました。なお、ソルベルグの優勝によりGR YARIS Rally1は今年、13戦中12勝とシーズン最多優勝記録に並び、通算48勝目を獲得しました。WRCは来シーズンの2027年より新しい車両レギュレーションが導入されるため、5シーズンを戦ったGR YARIS Rally1にとっては今回が最後の戦い、最後の勝利となりました。
パヤリは今年、トップカテゴリーフル参戦2シーズン目ながら、第9戦ラリー・エストニアで初優勝し、続く地元の第10戦ラリー・フィンランド、第11戦ラリー・パラグアイと、3連勝を達成しました。今回のサルディニアで3位となったことにより、今季の表彰台獲得回数は他の誰よりも多い9回となりました。また、ドライバー選手権では2位ソルベルグとわずか1ポイント差の3位となり、キャリア最高位でシーズンを締めくくりました。
2位でフィニッシュしたオジエは、WRC史上最多となる121回目のポディウムを獲得。9度の世界チャンピオンである同郷のセバスチャン・ローブが持っていた記録を塗り替えました。さらに、今回で214回目のWRC出場を果たし、チーム代表のヤリ-マティ・ラトバラの最多出場記録を上回りました。なお、オジエは他よりも2戦少ない11戦の出場で、2回の優勝を含む6回のポディウムを獲得。ドライバー選手権4位でシーズンを終えました。
勝田の2026年最終戦は、序盤のパンクにより厳しい戦いとなりましたが、それでも順位を挽回し総合6位でフィニッシュ。今シーズンは第3戦サファリ・ラリー・ケニアでWRC初優勝を成し遂げ、続く第4戦クロアチア・ラリーでも優勝。日本人として初めてWRCのドライバー選手権をリードするなど、シーズン前半戦はとくに素晴らしい結果を残しました。
サポート選手権のWRC2では、ローぺ・コルホネン(フィンランド)が今シーズン2勝目を獲得。ラウティオ・モータースポーツからエントリーし、プリントスポーツが走らせるGR Yaris Rally2でチャンピオンシップ2位を獲得しました。
1位 オリバー・ソルベルグ(GR YARIS Rally1 99号車)

タイトル争いに敗れましたが、TGR-WRT初年度に3勝を挙げ、最終戦まで激しくタイトルを争いました。パワーステージでのコースオフが惜しまれます。
「エルフィンとスコットにおめでとう。彼らはこのタイトルにふさわしい。自分にもチャンスがあったなんて信じられない。あと一歩まで迫っただけに悔しい。パワーステージでは全力を尽くしたが、最後に小さなミスでコースアウトしてしまった。このチームでの初シーズンでこれだけの成果を上げられたことを誇りに思う。最後まで全力を尽くしたので、また挑戦の機会があることを願っている。」
2位 セバスチャン・オジエ(GR YARIS Rally1 1号車)
2位でWRC史上最多121回目のポディウムを獲得し、ローブの記録を更新。214回目の出場でラトバラの最多出場記録も上回りました。
「今日のような劇的なフィニッシュ以上の脚本は書けない。エルフィン、スコット、おめでとう。彼ら以上にこのタイトルにふさわしいクルーはいない。オリバーとエリオットはあと一歩だったので今は辛いと思うが、今シーズンの彼らのスピードは驚かせた。世界チャンピオンになるのは時間の問題だ。チームに感謝する。」
3位 サミ・パヤリ(GR YARIS Rally1 5号車)
3位で今季最多9回の表彰台。選手権3位でキャリア最高位を記録しました。
「劇的なシーズンの締めくくりになった。エルフィンとスコットはタイトルにふさわしく本当に嬉しい。2年目で9回の表彰台と3勝には満足している。タイトル争いでわずか6ポイント差まで迫れた。まだ若いのでまたタイトルを狙えるチャンスがあることを願う。最後のステージでは全力を尽くした。」
4位 アドリアン・フルモー(Hyundai i20 N Rally1)

4位でフィニッシュ。土曜のパンクで表彰台争いから脱落しましたが、安定した走りでポイントを確保しました。
「エルフィンのチャンピオン獲得におめでとう。オリバーにも残念だが彼の時は来る。自分は初優勝はならなかったが、サウジアラビアのことは忘れない。厳しいシーズンだったが表彰台も獲得できた。Hyundai i20 N Rally1で2年間トップを争えたのは素晴らしく、特にグラベルでペースがあった。チームに大きな感謝を。」
5位 エルフィン・エバンス(GR YARIS Rally1 33号車)

総合5位ながらパワーステージの結果で初のワールドチャンピオンに。SS16でのパンクが最大のピンチでしたが、最後まで耐え抜きました。
「波乱の最終日を乗り越えチャンピオンになれた実感がまだ湧かない。接戦になると分かっていたが、最初のステージはクリーニングが大変で、3本目でパンクしてしまった。パワーステージは乱雑な走りになり十分ではなかったと思っていた。オリバーも終盤まで速かった。彼とエリオットは気の毒だ。この勝利は一年を通しての努力の結晶で誇りに思える。あと一歩が何度もあったので少しほっとした。スコットとチームに心から感謝する。」
6位 勝田貴元(GR YARIS Rally1 18号車)
序盤のパンクから順位を挽回し総合6位。GR YARIS Rally1での最後のラリーを完走しました。
「チームのおかげでこの厳しいラリーを走り切れた。金曜日のパンクで厳しいスタートだったが最終的に6位でフィニッシュでき、このクルマでの最後のラリーを楽しめた。今シーズンは2勝で好調なスタートを切れた。チームメイト同士が最後のコーナーまで激しいバトルを繰り広げる姿を見られて素晴らしかった。エルフィンとスコット、オリバーとエリオット、サミとマルコにもおめでとう。」
7位 ジョン・アームストロング(Ford Puma Rally1)

総合7位。初のフル参戦シーズンをクリーンな走りで締めくくり、自己ベストタイの結果を残しました。
「クリーンで成熟した走りで自己ベストタイの結果。ポジティブな印象でシーズンを終えた」
8位 ローぺ・コルホネン(GR Yaris Rally2)
WRC2で今季2勝目を獲得し、チャンピオンシップ2位を確保しました。
9位 ガス・グリーンスミス(GR Yaris Rally2)
WRC2で上位を争う安定した走りを見せました。
10位 テーム・スニネン(GR Yaris Rally2)
総合10位圏内でフィニッシュし、ポイントを獲得しました。
Rally Italia Sardegna 2026 – Final Overall Classification (Top 10)
| Pos | Driver / Co-driver | Team / Car | Time / Diff |
|---|---|---|---|
| 1 | Oliver Solberg / Elliott Edmondson | TGR-WRT / GR YARIS Rally1 | 3:24:57.0 |
| 2 | Sébastien Ogier / Vincent Landais | TGR-WRT / GR YARIS Rally1 | +57.6 |
| 3 | Sami Pajari / Marko Salminen | TGR-WRT / GR YARIS Rally1 | +1:37.4 |
| 4 | Adrien Fourmaux / Alexandre Coria | Hyundai Shell Mobis WRT / i20 N Rally1 | +2:38.6 |
| 5 | Elfyn Evans / Scott Martin | TGR-WRT / GR YARIS Rally1 | +4:48.1 |
| 6 | Takamoto Katsuta / Aaron Johnston | TGR-WRT / GR YARIS Rally1 | +6:02.4 |
| 7 | Jon Armstrong / Shane Byrne | M-Sport Ford WRT / Puma Rally1 | +7:32.2 |
| 8 | Roope Korhonen / Anssi Viinikka | Rautio Motorsport / GR Yaris Rally2 | +12:10.4 |
| 9 | Gus Greensmith / Jonas Andersson | / GR Yaris Rally2 | +13:02.2 |
| 10 | Teemu Suninen / Janni Hussi | / GR Yaris Rally2 | +16:13.9 |
※添付資料に基づく最終総合順位(上位)
2026 FIA WRC Drivers’ Championship Final Standings
| Pos | Driver | Team | Points |
|---|---|---|---|
| 1 | Elfyn Evans | Toyota | 243 |
| 2 | Oliver Solberg | Toyota | 238 |
| 3 | Sami Pajari | Toyota | 237 |
| 4 | Sébastien Ogier | Toyota | 189 |
| 5 | Adrien Fourmaux | Hyundai | 183 |
| 6 | Takamoto Katsuta | Toyota | 175 |
| 7 | Thierry Neuville | Hyundai | 134 |
| 8 | Hayden Paddon | Hyundai | 38 |
| 9 | Joshua McErlean | Ford | 35 |
| 10 | Esapekka Lappi | Hyundai | 33 |
| 11 | Yohan Rossel | Lancia | 24 |
| 12 | Jon Armstrong | Ford | 22 |
| 13 | Léo Rossel | Citroën | 18 |
| 14 | Robert Virves | Škoda | 17 |
| 15 | Gus Greensmith | Toyota | 15 |
| 16 | Mārtiņš Sesks | Ford | 12 |
※最終ポイント(主要ソースに基づく)
2026 FIA WRC Manufacturers’ Championship Final Standings
| Pos | Team | Points |
|---|---|---|
| 1 | TOYOTA GAZOO Racing WRT | 662 |
| 2 | Hyundai Shell Mobis WRT | 440 |
| 3 | TOYOTA GAZOO Racing WRT NG | 251 |
| 4 | M-Sport Ford WRT | 168 |
※最終ポイント(主要ソースに基づく)