2026年FIA世界ラリー選手権最終戦ラリー・イタリア・サルディニアが開幕し、難度の高いグラベルステージでデイ1の走行が行われました。本大会は現行Rally1車両による最後のイベントであり、年間ドライバーズタイトルが決定する重要な一戦です。
初日を終えてヒョンデのティエリー・ヌービルが総合首位に立ち、0.4秒差でアドリアン・フォルモーが続いています。選手権首位のエルフィン・エバンスは早い出走順による不利を受け総合6位となりましたが、仮想ランキングでの首位を維持しています。
2026年FIA世界ラリー選手権(WRC)最終戦、Rally Italia Sardegnaは、10月1日から4日にかけてイタリア・サルディニア島アルゲーロを拠点に開催されています。当初最終戦予定だったRally Saudi Arabiaが除外されたため本戦がシーズン最終戦となり、ドライバーズタイトルがここで決まります。さらに今年は現行Rally1レギュレーション最後のイベントであり、2022年から5シーズン活躍したGR Yaris Rally1、Hyundai i20 N Rally1、Ford Puma Rally1が公式に姿を消す最後の舞台。加えて2027年からはWRCイタリアラウンドが本土に移り、サルディニアはERCに移行するため、島でのWRC時代のフィナーレでもあります。

サルディニアの最大の特徴は、狭く技術的なグラベルステージです。道幅が狭く路肩に石が多く、わずかなミスがパンクや大きなタイムロスにつながりやすい難イベントとして知られます。路面は砂が乗った状態から始まり、後続車が走ると砂が掃き出されて岩盤や鋭い石が露出する「クリーニング効果」が強く、スタート順位が大きく影響します。今年は例年の6月から10月開催に変更され、2020年以来の秋開催。気温は夏ほど高くならない一方、地中海からの風で天候が変わりやすい可能性があります。
Day1の展開
木曜日のスーパーSS(イッティリ・アリーナ)を終えた後、金曜日は島の北東部で3本のクラシックステージを、アルゲーロでのミッドデイサービスを挟んで午前・午後各2回走行。合計6本、119.66kmのステージとなりました。サルディニア島北部は10月になっても暑さが続き、好天に恵まれた金曜日は日中の最高気温が28度前後まで上昇。ステージは終日ドライコンディションが保たれ、路面はルースグラベルによって非常に滑りやすく、石や岩も多く出ている難しい路面での走行となりました。
特に、ドライバーズタイトルを競う選手権トップ3のドライバーたちは、早い出走順によりルースグラベルの掃除役を担うことに。選手権首位のエルフィン・エバンス(230ポイント)、17ポイント差で追う2位サミ・パヤリ(213ポイント)、21ポイント差で追う3位オリバー・ソルベルグ(209ポイント)は、後続のドライバーたちよりも不利な条件で金曜日のステージに臨みました。

木曜日のスーパーSSで最速タイムを記録して首位に立ったソルベルグは、金曜日オープニングのSS2終盤でタイヤの空気圧を失い、8番手タイムで総合7位に後退。2番手タイムを記録したセバスチャン・オジエが首位に立ちました。続くSS3ではオジエがタイヤにダメージを負い、総合8位に後退。パヤリが総合3位、2番手タイムのソルベルグが総合4位につけました。そして午前中最後のSS4ではソルベルグがベストタイムを記録し、パヤリを抜き総合3位に。また、2番手タイムのオジエはエバンスを抜いて総合5位に順位を上げました。

ミッドデイサービスを経て始まった午後の再走ループでは、2本目のSS6でソルベルグが2番手タイムを記録するも上位陣の順位は変わらず。ソルベルグはデイ最終のSS7でも2番手タイムとなり、首位に立ったティエリー・ヌービル(Hyundai)と12.3秒差、総合2位のアドリアン・フォルモー(Hyundai)と11.9秒差の総合3位で一日を終えました。また、オジエはSS7でパヤリを抜き、ソルベルグと25.1秒差の総合4位に。パヤリはオジエと2.8秒差の総合5位、エバンスはパヤリと28.7秒差の総合6位で一日を終え、バーチャル上のポイントランキングではドライバー選手権首位の座を守りました。

なお、木曜日に総合6位につけた勝田貴元は、SS4でタイヤにダメージを負い交換作業で2分以上をロス。総合15位まで順位を下げ、その後もタイヤの空気圧が低下するなどしてさらにタイムを失いましたが、それでも総合9位まで順位を挽回して金曜日を終えました。
サポート選手権のWRC2では、ガス・グリーンスミス(イギリス)がトップに立ち、2.2秒差でローぺ・コルホネン(フィンランド)が2位につけるなど、2台のGR Yaris Rally2が優勝を争っています。
1位 Thierry Neuville / Martijn Wydaeghe(Hyundai i20 N Rally1)

最終2ステージ連続ベストでチームメイトを逆転し、わずか0.4秒差で首位に立つ。タイヤ選択とマネジメントが功を奏した一日。
「今日はわずかなリードだが、リードであることに変わりはない。このポジションにいられてとても嬉しい。勝利を争うために必要なペースとエネルギーを見つけられた。コンディションは比較的安定していてグリップも良かった。最終ステージに向けてフレッシュタイヤを残したのが違いを生んだ。アドリアンとのバトルはチームにとっても良いもので、明日も続けたい」
2位 Adrien Fourmaux / Alexandre Coria(Hyundai i20 N Rally1)

SS2とSS5でベストを記録し、大部分の時間をリード。午後のダストと岩盤で慎重になり、最終ステージで逆転を許す。
「今日はとてもポジティブな一日だった。午後最初のステージで強くプッシュしてタイムを稼いだ。その後はパンクのリスクを管理していたが、最終ステージで予期せぬダストが多くなり、コーナーの頂点が見えにくくなった。岩盤も多かったので慎重に走った結果タイムを失った。リードを失ったのは残念だが、0.4秒差はこのラリーでは十分に挽回できる。明日はプッシュしてポジションを取り戻したい。ティエリーとオリバーとのバトルは興味深いものになる」
3位 Oliver Solberg / Elliott Edmondson(Toyota GR Yaris Rally1)

朝のSS2でパンクにより約6秒ロスして7位まで後退するも、SS4でベストを記録して3位に浮上。午後も2番手タイムを連発し、タイトル争いで存在感を示した。
「素晴らしい一日だった。出走順を考えれば自分たちの仕事に満足できる。朝の最初のステージでパンクして約6秒を失ったのは不運だったが、それ以上のロスを免れたのはラッキーだった。2回目の走行ではトラブルを避けるために少し慎重になったが、他の2本ではかなり攻めて走り、クルマのフィーリングも良かった。明日も同じ戦略を続け、より公平な出走順で前方との差を縮められるかどうか試したい」
4位 Sébastien Ogier / Vincent Landais(Toyota GR Yaris Rally1)
SS3でフロント右パンクにより25秒以上をロスするも、その後回復して最終ステージでパヤリを抜き4位に浮上。
「今日はベストな一日とは言えなかった。今夜は4位以上を目指していたが、朝は思うようにいかず、タイムロスの大部分はパンクによるものだった。その後は少し慎重になりすぎて石を避け、トラブルを避けようと努めたため、あまり速く走れなかった。理想的な一日ではなかったが、明日はもっと良い走りができるように頑張り、運転を楽しむことに集中したい」
5位 Sami Pajari / Marko Salminen(Toyota GR Yaris Rally1)

全ステージでエバンスより速く、午前中は安定したペース。午後は厳しくなり最終で1つ順位を下げた。
「トリッキーな一日だったが、自分たちにできる限りのことは多分やれたと思う。出走順もあるのでパフォーマンスを判断するのは難しいが、全ステージでエルフィンよりは速かった。オリバーには及ばなかった。午前中の走りにはかなり満足しており、差もそれほど大きくは開かなかったが、午後はより厳しい展開となり、最後に順位をひとつ下げてしまった。それでもトラブルは回避できたので、まだ戦える位置につけている。明日は出走順が良くなるはずなので、ペースを上げて戦いを続けられるかどうか様子を見たい」
6位 Elfyn Evans / Scott Martin(Toyota GR Yaris Rally1)

選手権首位として一番手スタートの不利な条件で走行。午後はハンドリングに自信を持てず、約1分差の6位で終了。仮想選手権では首位を維持。
「予想通り厳しい一日になった。朝のスタートは悪くなく、クルマのフィーリングも概ね良好だったが、ステージのタイムは特に午後では期待していたほどではなかった。トラブルを回避できたことは重要で、総合順位も今日の目標からそれほど大きくは離れていなかった。明日は出走順がずっと良くなる。前方との差を縮めるのは難しいかもしれないが、できる限りのことをして良い順位を維持することが重要だ」
7位 Josh McErlean / Eoin Treacy(Ford Puma Rally1 / M-Sport)
安定した走りで7位を確保。
8位 Jon Armstrong / Shane Byrne(Ford Puma Rally1 / M-Sport)
パンクなどの影響を受けつつ8位。
9位 Takamoto Katsuta / Aaron Johnston(Toyota GR Yaris Rally1)
SS4でタイヤ交換に2分以上をロスして15位まで順位を下げ、その後も空気圧低下でさらにタイムを失うも、9位まで挽回。
「フラストレーションが溜まる一日だった。ステージのコンディションはかなりラフだったので、トラブルなく走り抜けることを心がけていたが、残念ながらループの3本目のステージでクルマを停め、タイヤ交換をせざるを得なくなった。どうやらそのステージでトラブルに見舞われたのは自分たちだけではなかったようだ。午後はさらなるトラブルを避けたいと願っていたが、それでもパンクで若干タイムを失ってしまった。明日こそはトラブルのない一日となり、良いフィーリングを得られることを願っている」
Day1終了時点の仮想ポイントランキング(試算)
現在の総合順位を基に、ラリーがこのまま終了した場合のポイントを加算した仮想選手権順位です(通常ポイント:1位25、2位18、3位15、4位12、5位10、6位8。パワーステージボーナスは未考慮)。
• 1位 エルフィン・エバンス:230 + 8 = 238ポイント
• 2位 オリバー・ソルベルグ:209 + 15 = 224ポイント
• 3位 サミ・パヤリ:213 + 10 = 223ポイント
エバンスが仮想首位を守り、ソルベルグがパヤリをわずかに上回る展開です。残り2日でまだまだ変動の余地は大きく、タイトル争いは興味深いものとなりそうです。
10月3日(土)は、島の北東部で3本のステージを、アルゲーロでのミッドデイサービスを経て午前と午後で各2回走行。そのうち、各ループ3本目のSS10/13「ソロルケ」は新しいステージです。また、全長24.83kmのSS9/12「コイルナーロエッレ」は、今大会最長のステージとなります。6本のステージの合計距離は123.66kmと4日間で最長。リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は642.56kmとなります。
| Pos | Driver / Co-driver | Team / Car | Gap |
|---|---|---|---|
| 1 | Thierry Neuville / Martijn Wydaeghe | Hyundai Shell Mobis WRT / i20 N Rally1 | — |
| 2 | Adrien Fourmaux / Alexandre Coria | Hyundai Shell Mobis WRT / i20 N Rally1 | +0.4s |
| 3 | Oliver Solberg / Elliott Edmondson | TOYOTA GAZOO Racing WRT / GR Yaris Rally1 | +12.3s |
| 4 | Sébastien Ogier / Vincent Landais | TOYOTA GAZOO Racing WRT / GR Yaris Rally1 | +37.4s |
| 5 | Sami Pajari / Marko Salminen | TOYOTA GAZOO Racing WRT / GR Yaris Rally1 | +40.2s |
| 6 | Elfyn Evans / Scott Martin | TOYOTA GAZOO Racing WRT / GR Yaris Rally1 | +1:00.approx |
| 7 | Josh McErlean / Eoin Treacy | M-Sport Ford WRT / Puma Rally1 | — |
| 8 | Jon Armstrong / Shane Byrne | M-Sport Ford WRT / Puma Rally1 | — |
| 9 | Takamoto Katsuta / Aaron Johnston | TOYOTA GAZOO Racing WRT / GR Yaris Rally1 | — |