WRC Rally Islas Canarias 2026(ラリー・イスラス・カナリアス)は、2026年シーズンの第5戦として4月23日から26日にかけてスペインのカナリア諸島グラン・カナリア島で開催されます。このイベントは50回目の記念大会となり、昨年2025年にWRCカレンダーに復帰して以来2回目の開催です。総距離は約1,309km、うち競技区間(SS)は18ステージで301.30kmを占め、全てアスファルト路面となります。
イベントの特色
クロアチア・ラリーから約2週間のインターバルを経て、戦いの舞台はアフリカ大陸の北西エリアに位置する、大西洋のスペイン領カナリア諸島(=イスラス・カナリス)に移動。主要7島のうち、アフリカ大陸から3番目に近い「グラン・カナリア島」で4日間に渡り競技が行われます。ラリー・イスラス・カナリアスの前身となるイベントは1977年に初めて開催され、昨年初めてWRCのカレンダー入りを果たしました。
50周年の記念大会となる今年も、サービスパークは島北東部の都市「ラス・パルマス」のグラン・カナリア・スタジアムに置かれます。
このラリーの最大の特徴は、「大西洋のサーキット」と称される滑らかで高速の流れるような道路です。火山性の起伏ある山岳路が舞台となり、グリップが高くクリーンな路面が続き、コーナーカットがほとんどできないため、どのドライバーにも比較的公平な条件が揃います。ただし、島特有の変わりやすい天候が大きな鍵となります。海岸部は晴れていても山間部では雨や濃霧が発生しやすく、1つのステージでドライとウェットが混在する可能性があります。ステージはサーキットのような長いコーナーが多く、精密なペースノートと高いコミットメントが求められます。サービスパークはラス・パルマスのエスタディオ・グラン・カナリアに置かれ、スタジアム内のスーパーSSやパワーステージも設定されています。
タイヤマネジメントやブレーキ温度の管理、セットアップの最適化(車高を低くし硬めのサスペンション)が重要で、クロアチアとは異なり汚れの少ないクリーンな路面のため、レーシングカー寄りのセッティングが求められます。過去のERC時代も含め、速さと一貫性が勝敗を分けやすいイベントと言えます。
ラリーウィーク最初の走行セッションであるシェイクダウンは、23日木曜日の午前中に行なわれ、その後、同日の夕方6時過ぎから、グラン・カナリア・スタジアム内に新たに設けられた全長1.89kmのスーパーSS1で競技がスタート。
山岳地帯を舞台とする本格的な戦いは、翌日の24日金曜日の朝から始まります。金曜日のデイ2は、島の中心部と西側に設けられた3本のステージを、サービスパークでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行。一日の最後にはスーパーSS1と同じステージを、スーパーSS8として再走します。
25日土曜日のデイ3は、島の北側と南側で3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行。そのうち全長28.90kmのSS11およびSS14は、今大会最長のステージとなります。また、土曜日の6本のステージの合計距離は112.22kmと、4日間で最長の一日となります。
ラリー最終日となる26日、日曜日のデイ4は島の東側エリアで2本のステージを各2回走行。そのうち、SS16の再走ステージとなる最終のSS18は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。18本のステージの合計距離は301.30km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1309.16kmが予定されています。
Toyota Gazoo Racing(Toyota GR Yaris Rally1)
Toyota Gazoo Racingは、5台のToyota GR Yaris Rally1を投入する強力な布陣で臨みます。昨年2025年の初開催で1-2-3-4フィニッシュを達成した実績を活かし、今年も連勝と上位独占を目指しています。チームの戦略の中心は、クロアチアとは大きく異なるクリーンで高グリップの路面に合わせた徹底した準備です。スペイン本土で実施したテストでは、レーシングカーのような低車高・硬めのサスペンションセッティングを重点的に調整し、サーキットスタイルの長いコーナーでリズムを最大限に発揮できるセットアップを追求しました。
路面が非常にスムーズで汚れが少ないため、グリップレベルが大幅に高く、タイヤマネジメントが特に重要となります。高温で粗い路面特性からハードコンパウンドのタイヤをファーストチョイスとし、摩耗をコントロールしながら一貫したペースを維持する戦略を取っています。天候の変化にも対応できるよう、柔軟な対応力を備えています。昨年同様に複数台でポイントを稼ぎ、選手権争いでも優位を築くことを狙っています。
• Elfyn Evans / Scott Martin
「路面は似てはいるものの、ラリー・イスラス・カナリアスは、クロアチアとは全く異なるラリーです。クロアチアでは路面が砂利や土で非常に汚れていましたが、カナリアスのステージは非常にクリーンかつスムースなので、グリップレベルははるかに高いです。WRCのカレンダーの中で最もレースに近いラリーであり、クルマのセットアップもレーシングカーのように車高を低くし、硬めにする必要があります。スペインの道でテストを行い、できる限りの準備を整えました。ラリー本番では最高の結果を目指して戦うつもりです。」
• Sébastien Ogier / Vincent Landais
「昨年初めてラリー・イスラス・カナリアスに出場して楽しかったですし、今年も出場できることを楽しみにしています。サーキットスタイルのステージがカレンダーに戻ってきたのは嬉しいですし、かつてカタルーニャで走っていた道を少し思い出させてくれます。路面コンディションはほぼ一定で、どのドライバーにとっても公平な条件が整っていると思います。このラリーでは限界まで攻める自信を与えてくれる速いクルマが必要ですが、テストではその点に取り組むことができました。短い休養期間の後、走りのリズムを取り戻す良い機会になりました。優勝争いに加わり、昨年の2位を上回る結果を残せることを願っています。」
• Oliver Solberg / Elliott Edmondson
「ラリー・イスラス・カナリアスは、素晴らしい道と最高の雰囲気を持つ美しいラリーです。Rally1カーでの参戦は今回が初めてですが、本当に楽しみにしています。クロアチアでは最終日のクリーンな路面で非常に良いスピードを発揮することができました。高温かつザラザラとした路面では、ハードタイヤがファーストチョイスになるでしょう。自分に速さとパフォーマンスは十分あると確信しているので、とても良いフィーリングと共にこのイベントに臨むことができそうです。」
• Takamoto Katsuta / Aaron Johnston
「昨年のラリー・イスラス・カナリアスではとても楽しむことができたので、今年も出場が本当に楽しみです。皆が限界ギリギリで走るので、コンマ数秒や1秒レベルの小さなミスであっても大きな代償を払うことになります。金曜日に出走順トップでステージを走れるのは嬉しいです。自分のベストを尽くすつもりです。」
• Sami Pajari / Marko Salminen
「自分のお気に入りのラリーの一つである、ラリー・イスラス・カナリアスが本当に楽しみです。クロアチアとは全く異なり、理論上はカナリアスの方が自分たちにより合っていると思います。昨年も良いペースで走ることができましたし、路面がクリーンなほど自分のターマックでのパフォーマンスは良くなる傾向があります。多くのポジティブな要素があるので、さらに良いラリーとなることを期待しています。」
Hyundai Shell Mobis World Rally Team(Hyundai i20 N Rally1)
Hyundai Shell Mobis World Rally Teamは、3台(+追加クルー)のHyundai i20 N Rally1で参戦します。クロアチアでリードしながら最終ステージでリタイアする悔しい結果となっただけに、今回のイベントでは「リセットして全力で戦う」姿勢を強調しています。
戦略のポイントは、クリーンで高グリップのアスファルトに最適化したセットアップです。クロアチアからの変更点として、車高をさらに下げ、サスペンションを硬くし、ブレーキを大型化するなど大幅な調整を行いました。汚れが少ない路面のためシーリングを減らして軽量化を図り、タイヤパフォーマンスを最大限に引き出しながら摩耗をコントロールするバランスが鍵となります。タイヤはHankookのハード(暖かくドライな条件用)、ソフト(涼しく湿った条件用)、ウェット用を状況に応じて選択し、最大28本のタイヤを効率的に運用します。
また、島特有の変わりやすい天候(海岸はドライでも山岳部で雨や濃霧が発生しやすい)を予測し、柔軟な戦略を準備。Dani Sordoは地元スペインでのターマックイベント「Rallye La Llana」で良好なセットアップとバランスを確認しており、これを活かして勝利や表彰台を積極的に狙います。チーム全体として、精密なペースノート作りと車体の予測性を高める作業を進め、クロアチアでの接近戦の経験を活かした巻き返しを図っています。
• Thierry Neuville / Martijn Wydaeghe
「Rally Islas Canariasは、おそらく今シーズンで最もストレートなターマックイベントです。最もクリーンで最高のグリップ条件が揃っています。道路はサーキットのようなキャラクターですが、ペースノートが非常に技術的で難しいのが主なチャレンジです。長いコーナーが多いため、信頼できる良いペースノートを作ることに力を入れました。車をより精密にし、バランスを改善する作業を進めてきました。みんながベストを尽くせば、強い結果を届けられると思います。」
• Adrien Fourmaux / Alexandre Coria
「Rally Islas Canariasは今年これまでのターマックとは全く異なります。道路は非常にクリーンで高グリップのため、車とドライバーの両方に大きなプッシュが求められます。毎秒を最適化するのが難しく、ペースノートが大きなチャレンジになります。天候もトリッキーで、海岸は良い条件でも山間部では雨や濃霧が入る可能性があります。すべてを最適化して最高の結果を出せるよう集中します。」
• Dani Sordo / Cándido Carrera
「Rally1カーに戻れて本当に興奮しています。特にカナリアスでの走行を楽しみにしています。目標は良いセットアップを整えて勝利や表彰台を争うことです。スペインのターマックなので、勝ちを狙うのも現実的だと感じます。Rallye La Llanaで良いセットアップとバランスを見つけました。島の天候は予測が難しく、一つのステージで雨、もう一つでドライという状況になる可能性がありますが、良い状態で臨めると考えています。」
M-Sport Ford World Rally Team(Ford Puma Rally1)
M-Sport Ford World Rally Teamは、Ford Puma Rally1で経験を活かした粘り強い走りを武器に上位進出を狙います。チームの戦略は、クロアチアで得た知見を最大限に活かし、精密さと一貫性を重視したクリーンな走行を組み立てることです。
このラリーは高速で流れるような「大西洋のサーキット」スタイルのため、タイヤ温度とブレーキ温度の管理が極めて重要となります。特に長いステージではタイヤをセーブしながら安定したパフォーマンスを維持する必要があり、クロアチアのセットアップを基に微調整を加えています。Rally2のFord Fiesta Rally2でも、広いスムーズな路面で最適なセットアップウィンドウを見極め、スムーズなドライビングでギャップを縮める計画です。
天候の変化(霧や雨の可能性)にも対応し、経験豊富なクルーがレッキ時の課題(観光客による交通渋滞など)を乗り越えて準備を進めています。トップ5やそれ以上の結果を目指し、Hyundai勢に積極的に挑む姿勢を見せています。
• Josh McErlean / Eoin Treacy
「Rally Islas Canariasは、ターマックでのペースをさらに築く良い機会です。非常に高グリップで高速かつ流れるようなラリーなので、コミットメントと精密さがすべてです。最近着実な進歩を遂げているので、早い段階で快適になり、クリーンで一貫した週末を組み立てることに集中します。」
• Jon Armstrong / Shane Byrne
「カナリアスにはERC時代に何度か行ったことがあり、いつも大きなチャレンジです。道路はレーストラックのような感じで、リコン時の交通渋滞も観光客で大変です。タイヤとブレーキの温度管理が非常に重要になります。クロアチアのセットアップ経験を活かして、Hyundai勢に挑みながらトップ5を目指します。」
• Romet Jürgenson / Siim Oja
「カナリアスは自然と楽しめるイベントですが、速く走るには車を非常に良いセットアップウィンドウに入れる必要があります。スムーズなドライビングが求められ、長めのステージではタイヤをセーブし温度を管理する要素がたくさんあります。昨年はスピードが物足りなかったので、今年はギャップを縮め、トップに近づけるよう頑張ります。」
List of Past Winners
| 年 | ドライバー / コ・ドライバー | 車両 | カテゴリ |
|---|---|---|---|
| 2025 | Kalle Rovanperä / Jonne Halttunen | Toyota GR Yaris Rally1 | WRC |
| 2024 | Yoann Bonato / Benjamin Boulloud | Citroën C3 Rally2 | ERC |
| 2023 | Yoann Bonato / Benjamin Boulloud | Citroën C3 Rally2 | ERC |
| 2022 | Nil Solans / Marc Martí | Volkswagen Polo GTI R5 | ERC |
| 2021 | Alexey Lukyanuk / Alexey Arnautov | Citroën C3 Rally2 | ERC |
※2025年はWRC初開催でToyota勢が上位を独占。ERC時代はRally2車両が活躍。