75周年の超高速グラベルで、全チーム・全ドライバーが本気の勝負へ
2026年FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦「ラリー・フィンランド」が、7月30日(木)から8月2日(日)まで、フィンランド・ユヴァスキュラを拠点に開催されます。地元では「フィンランド・グランプリ」とも呼ばれるこのイベントは、WRCカレンダーで最も高速なグラベルステージを誇り、大きなジャンプやクレスト、流れるようなコーナーが連続する「純粋なドライビングの喜び」を味わえるクラシックです。今年は開催75周年の記念大会となり、ルートの約66%が新たに設定されるなど、過去とは一味違った挑戦が待っています。
ラリー・フィンランドの歴史と特色
1951年に「ユヴァスキュラン・スウラヨット(Jyväskylän Suurajot)」としてスタートしたこのラリーは、1973年のWRC創設時から常にカレンダーに名を連ねる伝統の一戦です。中央フィンランドの森を駆け抜ける高速ステージは、ドライバーに絶対的な自信とペースノートへの信頼、そして車両への完全なコミットメントを求めます。路面は硬質で高いグリップを発揮し、ドライややや湿ったコンディションでは「まるでターマックを走っているよう」と形容されることも。エストニアに似た高速性を持ちながら、より多くのクレストやブラインドコーナー、印象的なジャンプが特徴で、わずかなミスが大きなタイムロスにつながる繊細さも併せ持っています。
今年は開催75周年の記念大会となるラリー・フィンランドは、7月30日(木)の朝9時過ぎから連続ジャンプで有名な「リーヒマキ」のステージでシェイクダウンが行われます。その後、ユヴァスキュラの市街地で午後7時過ぎから始る定番のスーパーSS「ハルユ1」で競技がスタート。
森林地帯での本格的な戦いは翌日31日(金)の朝から始まり、デイ2としてユヴァスキュラのサービスパークの北側から東側にかけてのエリアで、4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走ります。そのうちSS4/8「シダンマー」と、SS5/9「ホホ」は新しいステージとなります。さらに、一日の最後にはユヴァスキュラの市街地でスーパーSS「ハルユ2」を走行。9本のステージの合計距離は127.72kmと、4日間で最長の一日となります。
競技3日目となる8月1日(土)のデイ3は、サービスパークの南西エリアで「パルッコラ」「パイヤラ」「バスティラ」「レウストゥ」という定番の4本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。この日も8本のステージの合計距離は125.70kmと、デイ2に匹敵する非常に長い一日となります。
ラリー最終日となる8月2日(日)のデイ4は、サービスパークの南西エリアで今大会最長となる30.02kmの「ヒモス-ヤムサ」のステージを、ミッドデイサービスを挟むことなくSS19/20として2回走行。そのうち2本目のSS20はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に設定されています。
ラリーは4日間で20本のステージを走行し、その合計距離は316.04km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1278.06kmが予定されています。
ハルユ(Harju)のスーパースペシャルは伝統のまま残りますが、全体として「経験者も新鮮な気持ちで臨める」内容に仕上がっています。観客も数十万人規模で集まり、地元ドライバーへの期待とプレッシャーが特別な雰囲気を生み出します。これがRally1車両による最後のシーズンであることも、ファンにとって特別な意味を持っています。
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)
ホームイベントとなるTGR-WRTは、GR Yaris Rally1を5台投入。前戦エストニアでサミ・パヤリがWRC初優勝を飾り、チームは今季8勝目を達成。マニュファクチャラー選手権で大きなリードを保っています。ドライバー選手権もトップ5を独占する強力布陣です。
チーム代表のヤリ=マティ・ラトバラ氏は「5人全員が優勝する力を持ち、白熱した戦いが期待できる」と強調。WRC2にも複数のGR Yaris Rally2を投入し、層の厚さを見せます。
• エルフィン・エバンス / スコット・マーティン(33号車)
選手権首位。2021年・2023年優勝者で「フィンランドで複数回優勝した外国人ドライバーの一人」。リズムとフィーリングを重視し、「全てが噛み合えば自信が大きく高まる」とコメント。最初から上位争いに加わることを目指します。
• セバスチャン・オジエ / ヴァンサン・ランデ(1号車)
2013年・2024年優勝。9度の世界王者は「北欧の速いドライバーたちを相手に勝つのは難しいが、過去2年で競争力を発揮してきたので高い目標を掲げる」と意欲を見せます。
• オリバー・ソルベルグ / エリオット・エドモンドソン(99号車)
開幕戦優勝、エストニア2位。2024年はWRC2で優勝経験あり。「ステージの流れ・スピード・クレスト・ジャンプすべてが最高。初めてTGR-WRTとしてホームで走れるのは特別」と語ります。
• 勝田貴元 / アーロン・ジョンストン(18号車)
選手権2位。ユヴァスキュラ在住経験があり「第2のホーム」。2023年3位、2025年2位と表彰台経験豊富。「ペースノートとクルマへの絶対的な信頼が必要。今年はもうひとつ上を目指す」と意気込みます。
• サミ・パヤリ / マルコ・サルミネン(5号車、TGR-WRT2)
エストニア優勝でフィンランド人17人目のWRCウイナーに。地元ファンの前で「2勝目を実現したい」とコメント。2024年4位、2025年5位と着実に力を付けています。
Hyundai Shell Mobis World Rally Team
エストニアでアドリアン・フルモーが表彰台(チーム150回目の表彰台)を獲得し、勢いを保ったままフィンランドへ。i20 N Rally1が高速グラベルで競争力を発揮したことを受け、表彰台以上を狙います。ロードポジションも有利(6〜8番手スタート)です。
スポルティングディレクターのアンドリュー・ウィートリー氏は「エストニアのペースをフィンランドでも発揮できる。天候が最大の課題で、雨だと路面が崩れパンクリスクが高まる」と指摘。最終的なRally1シーズンとして「素晴らしいショーになる」と期待を寄せます。
• ティエリー・ヌービル / マルティン・ワイデーゲ(11号車)
「エストニアは柔らかく砂利が多いが、フィンランドはグリップが高くターマックに近い。クレストやブラインドも多い。勝利を争い、トラブルなく完璧な週末を」とコメント。経験を活かし、改善を続けます。
• アドリアン・フルモー / アレクサンドル・コリア(16号車)
エストニア3位で自信を得て「クレストとジャンプで完璧に着地し、次のコーナーへスピードを繋ぐことが重要。昨年はパンクで惜しい結果だったが、今年は強い戦いができる」と語ります。
• エサペッカ・ラッピ / エンニ・メルコネン(4号車)
2017年優勝の地元ヒーロー。昨年欠場後の復帰。「新ステージが多くクリーンな状態からスタートできるのはチャンス。エストニア後の改善を目指し、前線に近づく」と意気込みます。コドライバーのメルコネン氏も「地元でRally1を走れるのは特別。ファンの応援がモチベーションになる」と話しています。
M-Sport Ford World Rally Team
エストニアでの高速グラベルでの手応えをそのままフィンランドへ持ち込みます。短いインターバルの中で車両を整え、経験を積んだクルーが挑みます。
Rally2ではロメト・ユルゲンソン組やミッレ・ヨハンソン組も出場。チームプリンシパルのリチャード・ミレナー氏は「エストニアの学びをフィンランドに活かす。チームのハードワークに感謝」と述べています。
• ジョシュ・マクアーリーン / オイン・トレーシー(55号車、Ford Puma Rally1)
2025年7位。「フィンランドはシーズンのハイライトで、好きなラリーの一つ。Rally1で有名な道を走れるのは夢。エストニアのポジティブを活かす」とコメント。
• ジョン・アームストロング / シェーン・バーン(95号車、Ford Puma Rally1)
2016年以来の出場。「Rally1最後の年。10年前以来なので限界まで攻めるのはタフだが、ベストを尽くす」と意気込みます。
• マーティンシュ・セスクス / レナールス・フランシス(22号車、Ford Puma Rally1)
2025年8位、エストニア7位。「エストニアは良い準備になった。似た特性があり、競争力を発揮できるはず」と語ります。
過去5年の勝者(Recent Winners)
| Year | Driver / Co-driver | Car |
|---|---|---|
| 2025 | Kalle Rovanperä / Jonne Halttunen | Toyota GR Yaris Rally1 |
| 2024 | Sébastien Ogier / Vincent Landais | Toyota GR Yaris Rally1 Hybrid |
| 2023 | Elfyn Evans / Scott Martin | Toyota GR Yaris Rally1 Hybrid |
| 2022 | Ott Tänak / Martin Järveoja | Hyundai i20 N Rally1 |
| 2021 | Elfyn Evans / Scott Martin | Toyota Yaris WRC |