2026年FIA世界ラリー選手権(WRC)第10戦「Secto Rally Finland」は8月2日(日)、サービスパーク南西エリアに位置する大会最長の30.02kmステージ「ヒモス-ヤムサ」をSS19/20として2回走行する最終日を迎えました。SS20はパワーステージに指定され、トップ5タイムとマニュファクチャラーにボーナスポイントが付与される重要な一戦となりました。夏季の北欧らしい爽やかな天候に恵まれ、路面は概ねドライ。最終日にふさわしい舞台が整えられた中で、ドラマチックな決着が待っていました。
デイ3で首位に立ち、総合2位のオリバー・ソルベルグに46.4秒、総合3位のエルフィン・エバンスに1分36.3秒という大きなリードを築いていたTGR-WRT2のサミ・パヤリ/マルコ・サルミネン組(Toyota GR Yaris Rally1)は、確実性を重視した走りでSS19を4番手タイムで通過。リードは36.4秒に縮まりましたが、パワーステージのSS20でも5番手タイムを刻み、総合2位ソルベルグに26.7秒差をつけて母国ラリー初優勝を飾りました。前戦ラリー・エストニアでのWRC初優勝に続く2連勝です。
この勝利は歴史的意義を多く含んでいました。パヤリはフィンランド人ドライバーにとって記念すべきWRC通算200勝目を記録(エストニアでの199勝目に続くもの)。ラリー・フィンランドではWRC時代で14人目のフィンランド人ウイナーとなり、カッレ・ロバンペラが2024年にポーランドとラトビアで連勝して以来のフィンランド人による連続優勝、そして2025年のロバンペラ優勝に続くホームイベントでのフィンランド人連覇(異なるドライバー同士では2009-2010年以来)を達成しました。トヨタは過去9大会で8勝目、WRC時代通算ではフォードを抜き最多の11勝目を記録し、1-2-3フィニッシュを果たしました。

最終日は感情的なシーンも。パヤリはフィニッシュでフィンランド・ラリーのレジェンド、アリ・バタネンに迎えられ、「言葉が出ない。エストニアの初優勝も大きかったが、ホームウインは特別だ。フィンランド人にとって地元での優勝は決して簡単ではなかったが、クレイジーなラリーを戦い抜き成し遂げられた。チームとファンの皆さんに感謝。キトス・パルヨン!」と喜びを語りました。
一方、土曜日のデイ3中盤までリードしていたセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組は、ヴァスティラでの激しいクラッシュでリタイア。大きな怪我はなく、病院での経過観察を経て日曜日朝に退院し帰宅の途につきました。チームとファンへの感謝を述べています。
ソルベルグはジャンプ着地による激しい背中の痛みと戦いながらもSS19でベストタイムを記録し、スーパーサンデー優勝。パワーステージではエバンスに0.025秒差の2番手タイムをマークし、総合2位を守りました。エバンスは土曜日のロールからメカニックの懸命な修復で復帰し、パワーステージ優勝を含む活躍で総合3位を確保。選手権リードを30ポイントに広げました。アドリアン・フルモーは4位、ティエリー・ヌービルは勝田貴元のパワーステージでのコースオフ(木に接触しフロントダメージ)により5位に浮上、勝田は6位、ジョシュ・マッカーリーンが7位、ヤリ-マティ・ラトバラが総合8位(RC2優勝)となりました。
WRC2ではロバート・ヴィルヴェス/ヤッコ・ヴィーロ組(Škoda Fabia RS Rally2)が4戦4勝を達成。オーバーナイトリーダーのテーム・スニネンが30秒ペナルティを受けた後も着実に走り切り、タイトル争いで大きな一歩を踏み出しました。ラトバラはRC2クラス優勝を飾りました。
1位 サミ・パヤリ/マルコ・サルミネン(Toyota Gazoo Racing WRT2, GR Yaris Rally1)
リードを管理しながら確実に走り切り、ホーム初優勝と2連勝を達成。パワーステージ5番手でボーナスポイントも獲得し、選手権2位に浮上。
コメント:「ラリー・フィンランドで勝てたことはただただ素晴らしい。またひとつ夢が叶った。エストニアの初優勝も大きかったが、地元は特別だ。フィンランド人にとって地元優勝は容易ではなかったが、クレイジーなラリーを戦い抜いた。セブやエルフィンとの接戦だった。1000湖ラリーの勝者になれたのは信じられない。チームとファンに感謝」
2位 オリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン(Toyota Gazoo Racing WRT, GR Yaris Rally1)
背中の痛みと戦いながらもSS19ベスト、スーパーサンデー優勝、パワーステージ2番手。前戦に続くトヨタ1-2を完成。
コメント:「クレイジーな週末、クレイジーな一日だった。フィニッシュして再び表彰台に立ち、スーパーサンデーで優勝できて本当に嬉しい。パワーステージではわずかな差で逃したが、慎重に走っていた中で最終ステージを速く走れただけでも満足。多くのポイントを獲得し、チームに素晴らしい結果になった」
3位 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン(Toyota Gazoo Racing WRT, GR Yaris Rally1)
土曜日のロールからメカニックの修復で復帰し、パワーステージ優勝(ソルベルグに0.025秒差)、総合3位で選手権リードを30ポイントに拡大。
コメント:「超現実的な状況だった。何より昨日昼に壊したクルマを直してくれたチームに感謝。スーパーサンデーは高速でハイペース。1回目は少し勇気が足りなかったかもだが、2回目は攻めた。グリップは高かったが十分活かせなかったかもしれない。ポイントには満足。サミとマルコおめでとう。ホームウインの特別さはわかる。セブとジュリアンの早期回復を願う」
4位 アドリアン・フルモー/アレクサンドル・コリア(Hyundai Shell Mobis WRT, i20 N Rally1)
金曜日の豪雨で大きくタイムを失った後も追い上げ、4位フィニッシュ。スーパーサンデー・パワーステージでポイントを追加。
コメント:「複雑な気持ち。ステージを楽しんでおり、ペースにも満足しているが、表彰台に届かなかったのが残念。金曜日の雨でサミに1分25秒を失い、最終的に1分35秒差。雨のステージを除けば差は小さかった。後悔はない。日曜日は良いポイントを取れたが、もっと得られるべきだったと思う」
5位 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ(Hyundai Shell Mobis WRT, i20 N Rally1)
勝田のコースオフで5位に浮上。スーパーサンデー・パワーステージ4位でボーナスポイントを獲得。
コメント:「金曜日が最も厳しかった。その後は今日のポイントを待つしかなかった。ボーナス4ポイントは金曜日の状況を考えれば妥当。少しワイドになって石に当たりサスペンションを傷め、雨のタイミングも不運だった。残りは厳しかったが、今日は楽しめた」
6位 勝田貴元/アーロン・ジョンストン(Toyota Gazoo Racing WRT, GR Yaris Rally1)
パワーステージでイン側の岩を避けようとしてルースグラベルに入り、木に接触。フロントダメージでスロー走行となり6位に後退。選手権3位へ。
コメント:「本当に厳しい週末だった。今日はボーナスポイントを狙ったがうまくいかなかった。最終ステージで岩を避けようとしてラインを外し、ルースグラベルでワイドになり木にぶつかった。自分のミスでチームに申し訳ない。気持ちを切り替えて次に良い結果を出せるよう頑張る」
7位 ジョシュ・マッカーリーン/エオイン・トレイシー(M-Sport Ford WRT, Puma Rally1)
安定した走りで7位フィニッシュ。土曜日はヌービルと接戦を繰り広げた。
コメント:「クレイジーな週末だったが、クリーンに走り切り7位はポジティブ。金曜日の天候は難しかったが、その後良いペースを見つけ、ティエリーと戦えた。日曜日はクリーンにまとめられた。南米に向けて良い材料を持ち帰れる」
8位 ヤリ-マティ・ラトバラ/ユホ・ハンニネン(Toyota Gazoo Racing WRT, GR Yaris Rally2)
RC2クラス優勝、総合8位。フルタイム参戦引退後の好結果。
コメント:「この結果を成し遂げられて最高の気分。2019年を最後にフルタイムを辞めて以来、ずっと夢見てきた。トップカテゴリーの時代は終わったとわかっているが、速い若手とRally2で戦えたのは素晴らしい経験。GR Yaris Rally2は素晴らしいクルマで、ユホと優勝できて誇り。ユホはコーチングもしてくれた。過酷な大会だったが、サミとマルコのホーム優勝と表彰台独占は良かった」
WRC次戦は8月27日(木)から30日(日)にかけて開催される、第11戦「ラリー・デル・パラグアイ」です。南米大陸ではこれまでアルゼンチンやチリでWRCが行われてきましたが、昨年初めてパラグアイがカレンダーに加わり大きな成功を収めました。ラリーの中心となるサービスパークは今年も南部の都市「エンカルナシオン」に置かれ、粘土質の赤土と変わりやすいグリップが特徴のグラベル(未舗装路)ステージが戦いの舞台となります。
| Pos | Driver / Co-driver | Team / Car | Time / Diff |
|---|---|---|---|
| 1 | Sami Pajari / Marko Salminen | Toyota Gazoo Racing WRT2 Toyota GR Yaris Rally1 | — |
| 2 | Oliver Solberg / Elliott Edmondson | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | +26.7s |
| 3 | Elfyn Evans / Scott Martin | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | +1:19.5 |
| 4 | Adrien Fourmaux / Alexandre Coria | Hyundai Shell Mobis WRT Hyundai i20 N Rally1 | +1:35.9 |
| 5 | Thierry Neuville / Martijn Wydaeghe | Hyundai Shell Mobis WRT Hyundai i20 N Rally1 | — |
| 6 | Takamoto Katsuta / Aaron Johnston | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | — |
| 7 | Josh McErlean / Eoin Treacy | M-Sport Ford WRT Ford Puma Rally1 | — |
| 8 | Jari-Matti Latvala / Juho Hänninen | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally2 | RC2 Winner |
※添付資料に基づく主要結果。9位以下は詳細省略。
| Pos | Driver | Points |
|---|---|---|
| 1 | Elfyn Evans | 201 |
| 2 | Sami Pajari | 171 |
| 3 | Takamoto Katsuta | 160 |
| 4 | Oliver Solberg | 156 |
| 5 | Sébastien Ogier | 139 |
| 6 | Adrien Fourmaux | 129 |
| 7 | Thierry Neuville | 125 |
| 8 | Esapekka Lappi | 25 |
| 9 | Hayden Paddon | 21 |
| 10 | Josh McErlean | 21 |
2026 FIA World Rally Championship for Drivers’ Standings After round 10
| Pos | Manufacturer / Team | Points |
|---|---|---|
| 1 | Toyota Gazoo Racing World Rally Team | 514 |
| 2 | Hyundai Shell Mobis World Rally Team | 340 |
| 3 | Toyota Gazoo Racing World Rally Team 2 | 184 |
| 4 | M-Sport Ford World Rally Team | 130 |
2026 FIA World Rally Championship for Manufacturers’ Standings After round 10