WRC 2026 第9戦 ラリー・エストニアは、2026年7月16日から19日にかけてエストニアのタルトゥを中心に開催されます。WRC屈指のハイスピードグラベルラリーとして、世界中のファンから注目を集めるイベントです。本記事では、公式プレビュー資料に基づき、全チーム・全選手に公平に展望をまとめました。エストニア特有の高速ステージの特色や過去実績も詳しく解説します。
ラリーエストニアの特色と見どころ
ラリー・エストニアは、WRCカレンダー上で平均速度が特に高いグラベルイベントの一つです。ステージは全体的にフラットで滑らかな路面が続き、高速コーナーが連なる流れるようなレイアウトが特徴。ブラインドジャンプやテクニカルな森の狭いセクションも点在し、ドライバーとコ・ドライバーの完全な信頼関係が勝敗を左右します。
前戦アクロポリス・ラリーとは異なり、大きな石や荒れた路面が少なく、タイヤマネジメントより純粋なスピードと精密さが問われます。ただし、2回目の走行でソフト路面に深い轍ができやすく、セットアップ調整が重要です。雨が降ればコンディションが一変し、出走順の影響も大きくなります。2020年のWRCデビュー以来、熱狂的なファンとスペクタクルな走りが魅力で、今年はコンパクトスケジュール(金曜シェイクダウンスタート、18SS・競技距離約301.8km)で実施されます。高速グラベル連戦の初戦として、チャンピオンシップ争いの重要局面となります。
ラリー・エストニアは、今年もエストニア第2の都市「タルトゥ」を中心に行われます。サービスパークはこれまでと変わらず、ラーディ飛行場跡に設けられたエストニア国立博物館の敷地内に置かれ、競技は金曜日から日曜日までの3日間で開催。今年は、金曜日最初のSS1から、日曜日最後のSS18までのスタート時間が、約48時間に収まるという非常にコンパクトなスケジュールが導入されました。
ラリー初日の17日(金)は、朝8時過ぎからシェイクダウンが行われ、午後1時過ぎからデイ1がスタート。タルトゥの南側エリアで3本のステージを、タイヤフィッティングゾーンを挟んで各2回走行し、一日の最後にはエルヴァの市街地で全長1.72kmのスーパーSSがSSS7として行われます。
競技2日目となる18日(土)のデイ2は、タルトゥの北側で2本のステージを各2回走行。ミッドデイサービスを経て、午後はサービスパークの南側で2本のステージを2回走った後、サービスパークのすぐ近くで1.76kmのスーパーSSをSSS16として走行します。なお、デイ2は9本合計149.60kmのステージを走行する、3日間で最長の一日となります。
最終日の19日(日)は、デイ3として今大会最長となる24.39kmのステージを2回走行。そのうち、SS17の再走となる最終ステージのSS18は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに対し、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。ラリーは3日間で18本のステージを走り、その合計距離は301.8km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1022.02kmとなります。
Toyota Gazoo Racing WRT (TGR-WRT)
エストニアは相性の良いイベントで、過去複数回の優勝実績があります。高速グラベルを得意とするメンバーが揃い、ソルベルグは昨年このラリーでWRC初優勝を飾っています。勝田貴元は出場100戦目の節目です。
・エルフィン・エバンス
ギリシャは厳しい大会でしたが、エストニアとフィンランドのよりハイスピードな道では全く違う展開となることを期待しています。これらのイベントに向けては良いフィーリングを見つけ、クルマを可能な限り良い状態に準備することが重要です。先週エストニアの国内ラリーに出場し、再び非常に高いスピードに慣れることができたのは有益でした。どのようなコンディションであっても、ベストを尽くすことに集中します。
• セバスチャン・オジエ
ギリシャでの優勝は非常に重要でした。エストニアはシーズン屈指のスペクタクルなラリーで、オーガナイズも良く素晴らしい雰囲気です。2021年以降久々の参戦ですが、再び出場できることを楽しみにしています。先週のテストではハイスピードな道での感覚を取り戻すことができてとても楽しかったので、競争力があることを願っています。
• オリバー・ソルベルグ
ラリー・エストニアに戻ることを本当に楽しみにしています。昨年、初優勝を達成したエストニアは自分にとって非常に特別な場所です。ハイスピードな道、巨大なジャンプ、そして熱狂的なラリーファンなど、常に楽しむことができてきた本当にクールなラリーです。ここ最近はなかなか上手く行かないラリーが続いていましたが、今回はこのクルマでの出場経験があるラリーなので、ベストを尽くしどこまでできるか試してみたいと思います。
• 勝田貴元
ギリシャでは良い戦いができたので、自分のお気に入りのラリーであるエストニアとフィンランドの高速ステージに向けて、良いフィーリングを得ることができました。エストニアでは、特にステージの2回目の走行で路面に轍ができ、あのスピードではマージンもほとんどないため、集中力がかなり必要になります。チームメイト全員が非常に手強い相手になりますが、自分もベストを尽くして良い結果を残し、できるだけ多くのポイントを獲得したいと思います。
• サミ・パヤリ
カレンダーの中で自分のお気に入りラリーである、エストニアとフィンランドでの2戦が本当に楽しみです。前戦のギリシャでは序盤こそ苦戦しましたが、良い形で終えることができたので満足しています。チャンピオンシップでもまだ良い位置につけていますし、次のラリーでは出走順もそれほど悪くないはずなので、上位争いに加わることができるのではないかと思います。
Hyundai Shell Mobis World Rally Team
アクロポリスで好パフォーマンスを発揮した勢いを活かし、過去に勝利や表彰台を獲得した好相性のイベントで上位を目指します。
• ティエリー・ヌービル
アクロポリスでは多くのステージをリードし、勝利に手が届きそうでしたが後半のパンクで惜しくも逃しました。それでもパフォーマンスと冷静さを発揮できたことは自信になります。エストニアは過去に表彰台を複数回獲得した相性の良いラリーです。高速で流れるステージに合わせてi20 N Rally1を最適にセットアップし、信頼性を活かして今度こそ良い結果を掴みたいと思います。
• アドリアン・フルモー
アクロポリスでは勝利ペースを見せましたが、パンクの影響で7位に終わりました。スピードは出せている手応えがあります。エストニアのようなスーパーファストグラベルはチームの強みを活かせる場面が多いです。精密なドライビングと安定した走りで、表彰台争いに絡めるよう全力で挑みます。
• エサペッカ・ラッピ
Rally1カーに戻るのはとても楽しみです。この世代の車のスーパーファストラリーでの最後の機会になるので、参加できて嬉しいです。家族との時間やフィンランド国内戦で忙しく過ごしましたが、準備はできています。エストニアでは事前テストを成功させ、差動装置設定、サスペンション、ダウンフォースのバランスを最適にし、良いペースノートを作る必要があります。それができれば競争力が出せ、トップ5以上に戦えることを望んでいます。エストニアの路面はフィンランドよりソフトで自然なジャンプが多く、広いラインが取れる点が特徴です。
M-Sport Ford World Rally Team
アクロポリスでの好走を基に、高速ステージに挑みます。
・ジョシュ・マクリーン
エストニアは常にシーズンで最も速く楽しいラリーの一つです。ギリシャでの良い結果を基にモメンタムを維持したいと思います。このタイプのイベントが本当に好きなので、改善を続け強い結果を持ち帰れるよう頑張ります。
• ジョン・アームストロング
エストニアに戻るのが楽しみです。JWRCやERCで経験があり、ステージは完全にフラットアウトで、サンディな路面が自分に合っています。夏のスピード連戦をRally1でスタートさせる良い機会です。
• マルティンス・セスクス
今年はエストニアをホームラリーのように感じられます。ラトビアのファンもたくさん来てくれるはずで、昨年からのポジティブな点を活かして競争力のある週末にしたいと思います。
| 年 | 優勝ドライバー / コ・ドライバー | チーム | 車両 |
|---|---|---|---|
| 2020 | Ott Tänak / Martin Järveoja | Hyundai Shell Mobis WRT | Hyundai i20 Coupe WRC |
| 2021 | Kalle Rovanperä / Jonne Halttunen | Toyota Gazoo Racing WRT | Toyota Yaris WRC |
| 2022 | Kalle Rovanperä / Jonne Halttunen | Toyota Gazoo Racing WRT | Toyota GR Yaris Rally1 |
| 2023 | Kalle Rovanperä / Jonne Halttunen | Toyota Gazoo Racing WRT | Toyota GR Yaris Rally1 |
| 2025 | Oliver Solberg / Elliott Edmondson | Toyota Gazoo Racing WRT | Toyota GR Yaris Rally1 |