FIA世界ラリー選手権(WRC)2026シーズン第12戦「ラリー・チリ・ビオビオ」が、9月13日(日)にチリ南部コンセプシオン近郊で最終日を迎えました。トヨタGAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)のオリバー・ソルベルグ/エリオット・エドモンドソン組(Toyota GR Yaris Rally1)が、変化するコンディションを巧みにコントロールして総合優勝を飾りました。差は2位のセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組に16.6秒、3位のアドリアン・フルモー/アレクサンドル・コリア組(Hyundai i20 N Rally1)に33.3秒でした。
この勝利でソルベルグは今シーズン2勝目(開幕戦モンテカルロ以来)、キャリア通算3勝目を達成。チームとしてもGR Yaris Rally1が今季12戦中11勝目、8度目のワン・ツーフィニッシュを記録しました。何より大きなニュースは、トヨタがマニファクチャラーズ選手権で6年連続、通算10回目のタイトルを残り2戦を残して確定させたことです。これはランチアが1987〜1992年に達成した6連覇に並ぶ記録であり、通算タイトル数でもランチアと並ぶ最多タイとなりました。チームは1993年の初タイトル以来、2017年復帰後に積み重ねた実績をさらに更新する歴史的な一日となりました。

最終日のドラマはペンアルティメートステージで爆発しました。選手権リーダーのエルフイン・エバンス/スコット・マーティン組は、朝のSS13(Carampangue 1)でステージ優勝を挙げ、ソルベルグとの差を一時13.2秒まで縮め、Super Sunday首位を走っていました。しかしSS15(Carampangue 2)で予告なしのパンクが発生。タイヤ交換に2分以上を失い、総合2位から一気に5位まで転落する悲劇に見舞われました。これによりオジエが2位を継承し、フルモーが3位に浮上。ソルベルグはSS14で右リアタイヤにダメージを負いながらもステージ優勝を挙げ、最終のWolf Power Stageでも0.5秒差で最速タイムをマークして勝利を決定づけました。
フルモーも最終日にドラマを経験しています。SS13で右リア、続くSS14で左リアと立て続けにパンクに見舞われ、オジエとの差が一時開く苦しい展開となりましたが、エバンスの大きなタイムロスのおかげで表彰台を確保。今季4度目(連続2戦)の表彰台となりました。オジエはこの表彰台で通算120回目の表彰台を記録し、セバスチャン・ローブと並ぶ歴代最多タイに到達。また、今大会で自身の213回目のWRCスタートを迎え、チーム代表のヤリ=マッティ・ラトバラの記録に並んだことも特筆されます。パヤリは3連勝の勢いが止まって4位に終わりましたが、ポイントを着実に積み上げました。エバンスはPower Stageで2番手タイムを刻み、貴重なボーナスポイントを確保して総合5位でフィニッシュ。選手権ではエバンスが依然首位を守り、パヤリに17ポイント差、ソルベルグに21ポイント差で残り2戦(サルディニア、サウジアラビア)を迎える3者激戦の様相を呈しています。
勝田貴元選手は金曜日のオープニングステージでコース端にスタックしてデイリタイアとなりましたが、土曜日から再スタート。グラベルの先頭走行という不利な条件ながらトップ6タイムを連発し、Power Stageで2ポイントを獲得して健闘を見せました。スタンドインのコ・ドライバー、ジェームズ・フルトンとの初コンビネーションも無事に完走を果たしています。
一方、ジュニアWRCではアリ・トゥルカン(Castrol Ford Team Türkiye)が3年越しの悲願を達成し、トルコ人初のジュニアWRCチャンピオンに輝きました。最終戦でポイントリーダーのカレ・カールベリがSS11で大転倒リタイアする中、トゥルカンは土曜日に4ステージ優勝を含むボーナスポイントを積み重ねてリードを奪取。日曜日はリーヴィ・ラッシラに1分20.3秒差の2位でフィニッシュし、タイトルを決定づけました。ラッシラは土曜日のロールを乗り越え、キャリア初優勝を飾っています。
トヨタのタイトル獲得を受け、豊田章男TGR-WRTチェアマンは「オリバー、エリオット、優勝おめでとう!この勝利でマニファクチャラーズタイトルが確定した。ドライバー選手権はまだ激しい争いで、チームの5人全員にチャンスがある。残り2戦、全力で走ってほしい」とコメント。ユハ・カンクネン副チーム代表も「ランチア時代をドライバーとして経験した自分として、このチームでタイトルを重ねられるのは特別な喜び」と語っています。
1位 オリバー・ソルベルグ(Toyota GR Yaris Rally1)

金曜日の雨で早期リードを奪い、以降は賢いタイヤマネジメントで差を拡大。最終日もプレッシャーを跳ね返し、Power Stage最速で勝利を決定。今季2勝目で選手権3位に浮上。「信じられない週末だった。チームがずっと信じてくれた。少し運が味方してくれて、自分の仕事に集中できた。勢いを残りのラリーに繋げたい」と喜びを語っています。
2位 セバスチャン・オジエ(Toyota GR Yaris Rally1)
金曜日朝のタイムロスから粘り強く巻き返し、最終日に2位を継承。通算120回目の表彰台を達成し、ローブと並ぶ記録に。「チーム全員でまた世界チャンピオンになれた。工場とチームの全員に帽子を脱ぎたい。連続タイトルは特別な達成で、決して容易ではない。オリバーの勝利を祝福する」とコメント。
3位 アドリアン・フルモー(Hyundai i20 N Rally1)
一貫してトップ5タイムを連発し、最終日に2度のパンクを喫しながらもエバンスのパンクで表彰台に浮上。今季4度目の表彰台(連続2戦)。「タイヤパッケージを最適化しようと全力を尽くしたが、惜しかった。純粋なドライビングのラリーでファンも最高だった。次のサルディニアに集中する」と振り返っています。
4位 サミ・パヤリ(Toyota GR Yaris Rally1)
3連勝の勢いが止まり、ペースに苦戦しながらも4位を確保。ポイントを積み上げ選手権2位をキープ。「難しいラリーだった。ペースは希望通りではなかったが、今日は最大化を図った。エルフインの不運でポイントロスはなく、選手権が面白くなっている。チームのタイトルおめでとう」と語っています。
5位 エルフイン・エバンス(Toyota GR Yaris Rally1)
朝はステージ優勝で差を縮めたが、ペンアルティメートで予告なしのパンクにより2分以上ロスし5位転落。Power Stage2番手でボーナスポイントを確保。「チームの6連覇に心からおめでとうと言いたい。朝はポジティブだったが、こうしたことが起きる。3者激戦になったが、プッシュし続けるだけ」と前向きにコメント。
6位 エサペッカ・ラッピ(Hyundai i20 N Rally1)
土曜日のヌービルらのトラブルを活かしてポジションを上げ、トラブルなくポイントを獲得。「問題なく完走できたのはポジティブ。金曜日は自信がなく難しかったが、日曜日は少しプッシュできた」と語っています。
7位 ジョシュ・マクアーリン(M-Sport Ford Puma Rally1)
安定した走りでポイント圏内を確保。チーム内で上位を守りました。
8位 ヨハン・ロッセル(WRC2 / Citroën C3 Rally2)
WRC2クラスを制し、総合でも8位に食い込みました。
9位 ロバート・ヴィルヴェス(WRC2 / Škoda Fabia RS Rally2)
WRC2で上位を争い、総合9位。
10位 ガス・グリーンスミス(WRC2 / Škoda Fabia RS Rally2)
総合10位でフィニッシュしました。
次戦の「ラリー・イタリア・サルデーニャ」は10月1日から4日にかけて開催され、2020年以来初めて秋の開催。この過酷な島での大会は、高速だが狭いグラベルステージと、岩が多く路面が荒れていることが特徴です。
Rally Chile Biobío 2026 – Final Classification (Overall Top 10)
| Pos | Driver / Co-driver | Team / Car | Time / Gap |
|---|---|---|---|
| 1 | Oliver Solberg / Elliott Edmondson | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | 2:57:08.2 |
| 2 | Sébastien Ogier / Vincent Landais | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | +16.6s |
| 3 | Adrien Fourmaux / Alexandre Coria | Hyundai Shell Mobis WRT Hyundai i20 N Rally1 | +33.3s |
| 4 | Sami Pajari / Marko Salminen | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | +1:33.9 |
| 5 | Elfyn Evans / Scott Martin | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | +2:22.3 |
| 6 | Esapekka Lappi / Enni Mälkönen | Hyundai Shell Mobis WRT Hyundai i20 N Rally1 | +5:07.0 |
| 7 | Josh McErlean / Eoin Treacy | M-Sport Ford WRT Ford Puma Rally1 | +7:31.5 |
| 8 | Yohan Rossel / Arnaud Dunand | WRC2 Citroën C3 Rally2 | +9:31.0 |
| 9 | Robert Virves / Aleks Kaasik | WRC2 Škoda Fabia RS Rally2 | +10:24.0 |
| 10 | Gus Greensmith / Jonas Andersson | WRC2 Škoda Fabia RS Rally2 | +10:58.2 |
*Subject to official FIA results. Data compiled from official press releases.
Drivers’ Championship Standings (after Rally Chile)
| Pos | Driver | Points | Gap |
|---|---|---|---|
| 1 | Elfyn Evans | 230 | — |
| 2 | Sami Pajari | 213 | +17 |
| 3 | Oliver Solberg | 209 | +21 |
| 4 | Sébastien Ogier | 171 | +59 |
| 5 | Adrien Fourmaux | 167 | +63 |
| 6 | Takamoto Katsuta | 163 | +67 |
| 7 | Thierry Neuville | 129 | +101 |
| 8 | Hayden Paddon | 38 | +192 |
| 9 | Josh McErlean | 35 | +195 |
| 10 | Esapekka Lappi | 33 | +197 |
Evans leads by 17 points over Pajari and 21 over Solberg with two rounds remaining.
Manufacturers’ Championship Standings (after Rally Chile)
| Pos | Team | Points | Status |
|---|---|---|---|
| 1 | Toyota Gazoo Racing WRT | 614 | Champions 2026 (6 consecutive / 10th overall – equals Lancia record) |
| 2 | Hyundai Shell Mobis WRT | 410 | — |
| 3 | M-Sport Ford WRT | 227 | — |
Title mathematically secured with two rounds remaining. Toyota 614 pts, Hyundai 410 pts, Ford 227 pts.