FIA世界ラリー選手権(WRC)2026シーズン、南米を舞台にしたグラベルラリー2連戦の2戦目となるラリー・チリ・ビオビオが、コンセプシオンのサービスパークを中心に開幕しました。10日(木)午前のシェイクダウンではドライコンディションの全長5.76kmを走行し、勝田貴元選手が1番手タイムを記録。パヤリが3番手、オジエが6番手、エバンスが10番手と、各クルーが本番に向けた最終セットアップ確認を行いました。
競技は11日(金)朝からデイ1がスタート。サービスパーク南東エリアで昨年から大幅に改訂された3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行する計6ステージ(合計距離100.78km)が行われました。夜間に降った雨の影響で午前中のステージは全体的に湿った状態となり、特に最初の2本はクルマが走れば走るほど泥状になるぬかるんだ路面が多く見られました。ルースグラベルのクリーニングが課題となるドライコンディションとは異なり、出走順が早いドライバーたちにとってタイムを出しやすい状況が生まれました。
オープニングのSS1では、ぬかるんだ路面を得意とする出走順3番手のオリバー・ソルベルグがベストタイムを記録。出走順トップの選手権リーダー、エルフイン・エバンスが1.4秒差のセカンドベストで続きました。続くSS2ではエバンスがベストタイムを叩き出し、ソルベルグを抜いて0.4秒差で首位に浮上。3番手タイムのセバスチャン・オジエが総合4位に順位を上げました。午前最後のSS3ではソルベルグが2番手タイムで首位に復帰し、エバンスに2.3秒の差をつけて午前のループを終えました。
午後の再走ステージは路面がかなり乾き、午前とは大きく異なるコンディションに変化。SS4では直近3戦連勝中のサミ・パヤリが速さを取り戻してベストタイムを記録し、総合5位に浮上。午前中に5位まで後退していたオジエも僅差の2番手タイムで総合4位に復帰しました。SS5ではオジエがベストタイム、パヤリが0.1秒差の2番手、ソルベルグが3番手とチーム内競争が激化。ソルベルグはこのステージでエバンスへのリードを5.6秒に拡げ、最終のSS6で2回目のベストタイムを記録して差を10.1秒に拡大し、一日を締めくくりました。総合3位のアドリアン・フルモー(Hyundai)と4位オジエの差は1.7秒、オジエと5位パヤリの差は2.0秒と、激しい3位争いが続いています。
勝田貴元選手は、レギュラーのコ・ドライバーであるアーロン・ジョンストンの欠場によりジェームズ・フルトンを助手席に迎えての参戦でしたが、非常に滑りやすいコンディションとなったSS1でコースオフ。クルマが土手に乗り上げたことで走行を続けることができなくなり、デイリタイアとなりました。車両に大きな損傷はなく、翌日再スタートとなります。また、TGR WRCチャレンジプログラムの山本雄紀選手はラリー・チリ・ビオビオ初出場ながら、一時はWRC2で6位まで順位を上げていましたが、SS6でアクシデントに遭遇。コ・ドライバーのトピ・ルフティネンとともに、さらなるメディカル検査を受けるため病院に搬送されました。
5人ものドライバーがステージ勝利を分け合う激しい初日となり、ソルベルグにとってはチリでのRally1デビュー戦でクリーンな走りを見せた好スタート。エバンスは雨の恩恵を受けつつも午後の厳しいコンディションを乗り越え、明日のロードポジションを確保しました。フルモーは午前中のトラブルを克服して表彰台圏内を堅持し、オジエとパヤリの猛追を受けながらも首位から18.0秒差で3位をキープ。ティエリー・ヌービルはグリップ不足とダンパーの軽微なリークに苦しみつつ6位、M-Sport Fordのジョシュ・マクアーリンとジョン・アームストロングがチーム内バトルを繰り広げて7・8位、エサペッカ・ラッピが9位、WRC2をリードするニコライ・グリヤジンが総合10位となりました。
1位 オリバー・ソルベルグ(Toyota GR Yaris Rally1)
変化するコンディションにいち早く適応し、SS1とSS6でベストタイムを記録してリードを守りました。雨の恩恵を受けつつ、クリーンで効率的な走りを徹底。「雨が降ったことは比較的早い出走順だった自分たちにとって助けになった。誰にとっても公平な状況になったと思うし、自分はいつだってそのようなコンディションで走るのが好き。大きなリスクを冒す意味はなく、効率的に走ることを心がけた。問題なく良い形で金曜日を終えられて嬉しい。明日は戦略が重要だが、フィーリングは良い」とコメントしています。
2位 エルフイン・エバンス(Toyota GR Yaris Rally1)
選手権リーダーとしてオープニングロードを務めつつ、雨のおかげで不利を軽減。SS2でベストタイムを記録して一時首位に立ちましたが、午後は差を広げられました。「今朝はかなりトリッキーな路面コンディションになり、誰にとっても難しいスタートだったが、夜中に雨が降ってくれたのはありがたい。グリップレベルがかなり変わりやすかったので問題なく走り切れて良かったし、路面を清掃する必要がなくなるという恩恵も受けられた。午後は思ったほど速くは走れなかったが、2位で一日を終えられたのは悪くない。明日に向けて良い出走順が得られた」と前向きです。
3位 アドリアン・フルモー(Hyundai i20 N Rally1)
午前中の電気系トラブルを克服し、午後に追い上げて3位を堅持。首位から18.0秒差でオジエに1.7秒のリードを保っています。「この車をこれらのステージで走らせるのは世界で最高のことの一つ。タイヤを考慮しても良いステージができた。明日はクリーニング効果が大きくなるのでロードポジションが重要」と意気込みを語っています。
4位 セバスチャン・オジエ(Toyota GR Yaris Rally1)
午前はグリップと車のバランスに苦しみましたが、午後にSS5でベストタイムを挙げて巻き返し。フルモーに1.7秒差。「出走順が少し後方だった私たちにとって雨は理想的ではなかったかもしれない。しかしチャンピオンシップのリーダーたちが路面を常に清掃しないで済むということは、彼らが受けられるちょっとした恩恵でもある。最初のステージでタイムロスの大部分を喫したが、その後はうまく対応でき、良いリズムで走れた。明日は異なるタイプのステージで様々な課題が待っているが、まだまだ勝負は続いている」と冷静に分析しています。
5位 サミ・パヤリ(Toyota GR Yaris Rally1)
午前のSS1で苦しいスタートとなりましたが、午後にSS4を制し、ポディウムまであとわずか圏内に迫りました。「午前中はかなりトリッキーで、特に最初のステージでは周りのドライバーたちがうまく利用したのに対し、自分たちはペースがあまり良くなかった。午後は明確に調子が良くなり、運転を楽しめてステージ優勝もできた。表彰台まであと3秒というところまで来ているし、ラリーはまだ先が長いのでとにかくプッシュし続けるだけ」とコメント。
6位 ティエリー・ヌービル(Hyundai i20 N Rally1)
午前にグリップ不足で苦しみつつSS3を制して上昇しましたが、午後も自信を欠き、ダンパーの軽微なリークも明らかになりました。首位から27.4秒差。「コンディションと戦う一日で、できることが少なかった。明日はドライ寄りになるのでクリーニングが重要になるが、まだ戦いは続いている」と振り返っています。
7位 ジョシュ・マクアーリン(M-Sport Ford Puma Rally1)
チーム内バトルを制して7位。安定した走りでアームストロングに2.4秒差をつけました。
8位 ジョン・アームストロング(M-Sport Ford Puma Rally1)
マクアーリンとの接戦を演じ、8位で初日を終えました。
9位 エサペッカ・ラッピ(Hyundai i20 N Rally1)
復帰戦でロードオーダーの不利とコンディションに苦しみ、SS2で草のバンクに接触する場面もありました。慎重なアプローチで完走。「難しい一日だった。設定が合わず自信が持てない。明日もクリーニングが多くなりそうだ」と語っています。
10位 ニコライ・グリヤジン(WRC2)
WRC2をリードし、総合でも10位。選手権リーダーのロバート・ビルベスに8.5秒差をつけています。
競技2日目となる9月12日(土)のデイ2は、サービスパークの南、ビオビオ川と太平洋に挟まれたエリアに戦いの舞台が移動。前年大会と同じ3本のステージを、ミッドデイサービスを挟んで各2回走行します。そのうち、全長28.31kmのSS9/12は今大会最長のステージです。金曜日のステージと比べると全体的に道幅は広く、ザラザラとした路面が特徴です。6本のステージの合計距離は139.2kmと3日間で最長。リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は400.08kmとなります。
Rally Chile Biobío 2026 – Overall Classification after Day 1 (Friday)
| Pos | Driver / Co-driver | Team / Car | Time / Gap |
|---|---|---|---|
| 1 | Oliver Solberg / Elliott Edmondson | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | — |
| 2 | Elfyn Evans / Scott Martin | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | +10.1s |
| 3 | Adrien Fourmaux / Alexandre Coria | Hyundai Shell Mobis WRT Hyundai i20 N Rally1 | +18.0s |
| 4 | Sébastien Ogier / Vincent Landais | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | +19.7s |
| 5 | Sami Pajari / Marko Salminen | Toyota Gazoo Racing WRT Toyota GR Yaris Rally1 | +21.7s |
| 6 | Thierry Neuville / Martijn Wydaeghe | Hyundai Shell Mobis WRT Hyundai i20 N Rally1 | +27.4s |
| 7 | Josh McErlean / Eoin Treacy | M-Sport Ford WRT Ford Puma Rally1 | — |
| 8 | Jon Armstrong / TBA | M-Sport Ford WRT Ford Puma Rally1 | +2.4s (to McErlean) |
| 9 | Esapekka Lappi / Enni Mälkönen | Hyundai Shell Mobis WRT Hyundai i20 N Rally1 | — |
| 10 | Nikolay Gryazin / Konstantin Aleksandrov | WRC2 — | — |