トリッキー路面でトヨタがトップ4独占、勝田貴元は巻き返しへ WRC 2026 ラリージャパンDAY1

2026年シーズン最後のターマックイベントであり、現行Rally1規定最後のラリージャパン。5月開催という異例のタイミングで迎えた第7戦は、初日から波乱含みのドラマチックな展開となりました。

競技開始前の走行セッションとなるシェイクダウンは、28日(木)の午前8時過ぎから全長2.53kmのステージで鞍ケ池公園で行われ、その後、ドライバーとクルマは名古屋市内へと移動し、名古屋城に隣接する愛知県体育館の敷地内で、夕方6時からオープニングセレモニーが華々しく行なわれました。

競技は29(金)の朝から始まり、デイ1として愛知県内でアスケ(足助)、イセガミズ・トンネル(伊勢神トンネル)、イナブ/シタラ(稲武/設楽)という3本のステージを、豊田スタジアムでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行。6本のステージの合計距離は108.54km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は346.61kmでした。金曜日は好天に恵まれましたが、午前中は今年初めてルートに組み込まれたアスケの1本目、SS1を含む多くのステージがドライ路面、湿った路面、ウェット路面が入り交じる非常にトリッキーなコンディションになりました。

開幕前日のシェイクダウンではセバスチャン・オジエが最速を記録しましたが、本番では路面コンディションが全てを変えました。28日夜の雨の影響で、29日の朝は木陰を中心に湿った路面とドライ路面が混在する極めてトリッキーな状況に。こうした難コンディションの中、Toyota Gazoo Racing(TGR)が圧倒的な強さを発揮し、トップ4を独占する完璧なスタートを切りました。

最大のドラマの一つは、地元ヒーロー勝田貴元の苦闘でした。母国ラリーにWRCウイナーとして凱旋し、優勝を強く意識していた勝田は、SS1「Asuke(足助)」の新ステージでアクシデントに見舞われます。濡れた右コーナーでコーナリングラインが膨らみ、側溝にタイヤを落として左リアパンクを喫してしまいました。このトラブルにより、ウェットコンディションでハードタイヤを余儀なくされ、朝のループでは自信を失い苦しい走行を強いられます。

午後もタイムを取り戻そうと全力を尽くしましたが、タイヤ戦略がうまく機能せず、総合6位(+1:03.8)でデイ1を終える結果となりました。勝田本人も「今日は期待していたほど順調にはいきませんでした。コンディションは非常に難しく、濡れて滑りやすい場所を把握するのが本当に難しかったです。残念ながら最初のステージでパンクをしてしまったことで…午後はタイムと順位を取り戻そうと全力を尽くしましたが、タイヤ戦略がうまく機能しませんでした。まだ2日間残っていますし、諦めるつもりはありません。応援してくださるファンの皆さんのために、とにかく良い走りをしたいと思っています」と悔しさをにじませつつ、地元ファンの期待に応える決意を語りました。

一方でTGRの他ドライバーは好調。オリバー・ソルベルグがAsukeでベストタイムを記録して好スタートを切った一方、エルフィン・エバンスがIsegami’s Tunnelで7.5秒差の圧倒的ベストタイムを叩き出し、一気に首位に浮上。以降は冷静にリードを守りました。最終SS6ではサミ・パヤリがステージ優勝を飾り、Toyotaの独走を印象づけました。

Hyundai Shell Mobis World Rally Teamは朝のソフトタイヤでは一定の競争力を見せましたが、午後のハードタイヤに切り替えた途端にフロントグリップを失い、大きく苦戦しました。

WRC2ではアレハンドロ・カチョン(Toyota GR Yaris Rally2)が首位を守り、TGR WRCチャレンジプログラムの山本雄紀も3位と健闘しています。

トップ10選手の詳細とコメント

1位 エルフィン・エバンス(Toyota GR YARIS Rally1 #33)

朝の難しいコンディションを冷静に切り抜け、Isegami’s Tunnelで決定的なベストタイムを記録。以降はリードを守りきりました。「路面コンディションが目まぐるしく変化する難しいスタートでしたが、良いリズムで走り切ることができました。明日以降もベストを尽くします。」

2位 オリバー・ソルベルグ(Toyota GR YARIS Rally1 #99)

Asukeで2回ベストタイムを記録するなど速さを見せましたが、SS3で鹿を避けてタイムロス。最終ステージでも小ミスが重なり悔しい2位。「全体的には良い一日でしたが、最終ステージは多くの小さなミスをしてしまいました。16秒差ではなく10秒差にできたはずです。」

3位 セバスチャン・オジエ(Toyota GR YARIS Rally1 #1)

クルマのセッティングに苦戦し、特に朝のIsegami’s Tunnelで大きくタイムを失いましたが、午後に巻き返し。「完全に理想的とは言えません。クルマのスイートスポットを見つけられていません。今夜調整してプッシュします。」

4位 サミ・パヤリ(Toyota GR YARIS Rally1 #5)

午前中は苦戦したものの、SS6でステージ優勝。終盤に調子を上げてきた印象です。「驚くほどトリッキーな一日でした。一日の最後にはステージ優勝を果たせ、クルマのフィーリングも良くなりました。」

5位 ティエリー・ヌービル(Hyundai i20 N Rally1)

朝のソフトタイヤでは3番手タイムを記録するなど好走を見せましたが、午後のハードタイヤでアンダーステアに苦しみました。「朝のループは思ったより苦労しませんでした。特にサービス前の最終ステージは良い感触でした。ソフトタイヤでは競争力がありましたが、ハードタイヤになるとフロントが抜けるのでプッシュしきれませんでした。」

6位 勝田貴元(Toyota GR YARIS Rally1 #18)

SS1でパンクを喫し、ウェットでハードタイヤを強いられる厳しい展開に。母国ラリーでの凱旋を狙った地元ヒーローにとって、非常に悔しい1日となりましたが、まだ巻き返しの可能性は十分に残しています。「今日は期待していたほど順調にはいきませんでした…残念ながら最初のステージでパンクをしてしまったことで、その後はウェットコンディションで、ハードタイヤを使わざるを得ませんでした。午後はタイムと順位を取り戻そうと全力を尽くしましたが、タイヤ戦略がうまく機能しませんでした。まだ2日間残っていますし、諦めるつもりはありません。応援してくださるファンの皆さんのために、とにかく良い走りをしたいと思っています。」

7位 アドリアン・フルモー(Hyundai i20 N Rally1)

朝にセットアップが合わず苦戦しましたが、午後にペースを上げ、Asuke再走でトップ5タイムを記録しました。「朝のコンディションは本当に難しかったです。レッキ時はドライでしたが、雨の影響でステージが変わり苦労しました。午後は朝より良くなりましたが、まだ望むペースには達していません。改善の余地があります。」

8位 ヘイデン・パッドン(Hyundai i20 N Rally1)

日本ターマック初挑戦でトラブルフリーながら、朝のタイヤ選択ミスが響きました。「ステージ4と6は悪くなかったですが、タイムが出ていません。朝はソフトタイヤにすべきでした。コンディションの読みを誤り、濡れた路面でハードタイヤは非常に難しかったです。無茶はできない状況でした。」

9位 ジョン・アームストロング(Ford Puma Rally1)

バリア接触やインターコムトラブルを抱えながら9位をキープ。

10位 アレハンドロ・カチョン(Toyota GR Yaris Rally2)

WRC2で激しいバトルを制し、総合10位でクラスリード。


競技2日目となる5月30日(土)のデイ2は、愛知県と岐阜県が戦いの舞台に。愛知県のオバラ(小原)、岐阜県のエナ(恵那)およびマウント・カサギ(笠置山)という3本のステージを、恵那峡ワンダーランドに設けられるタイヤフィッティングゾーン(TFZ)での簡易的なサービスを挟んで各2回走行。一日の最後には、豊田市に新たに設けられた3.19kmのスーパーSS、フジオカSSS(藤岡)をSS13/14として2回走行します。デイ2は全部で8本のステージを走行し、その合計距離は120.22kmと3日間で最長。リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は332.37kmが予定されています。

PosDriver / Co-driverTeam / CarTime / Gap
1Elfyn Evans / Scott MartinToyota GR YARIS Rally11:13:07.0
2Oliver Solberg / Elliott EdmondsonToyota GR YARIS Rally1+15.7
3Sébastien Ogier / Vincent LandaisToyota GR YARIS Rally1+17.1
4Sami Pajari / Marko SalminenToyota GR YARIS Rally1+41.5
5Thierry Neuville / Martijn WydaegheHyundai i20 N Rally1+58.2
6Takamoto Katsuta / Aaron JohnstonToyota GR YARIS Rally1+1:03.8
7Adrien Fourmaux / Alexandre CoriaHyundai i20 N Rally1+1:16.3
8Hayden Paddon / John KennardHyundai i20 N Rally1+2:17.0
9Jon Armstrong / Scott ByrneFord Puma Rally1+2:40.9
10Alejandro Cachón / Borja RozadaToyota GR Yaris Rally2+3:26.6