2年ぶりのWRC開催となるクロアチア・ラリーは、9日木曜日の午前中に全長3.44kmのターマック(舗装路)ステージでシェイクダウンが行われ、一夜明けた10日金曜日の朝9時過ぎからスタートし、リエカの西側エリア、アドリア海に突き出すイストリア半島に新たに設けられた、4本のターマックステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。その合計距離は126.86kmと長く、3日間で最長の一日になりました。ラリー前は天候の悪化も予想され、降雪の可能性もあったため本来は設定がなかった雪道用のスタッドレスタイヤも急遽用意されましたが、デイ1は一日を通してドライコンディションでの戦いになりました。
WRCデビューとなる路面が多く、グリップの変化が激しく、ミスをしやすいコンディションでした。デイ1の8本のSS(合計約126.86km)は、予想外のクラッシュやトラブルが相次ぎ、複数の有力ドライバーが早々にリタイアやタイムロスを強いられました。
主なドラマは朝のループで集中しました。オープニングのSS1とSS2で好スタートを切ったElfyn Evans(Toyota GR Yaris Rally1)が、SS3でコースオフ。予想以上にきつい右コーナーにハイスピードで進入し、木々に突っ込んでデイリタイアとなりました。一方、Oliver Solberg(Toyota GR Yaris Rally1)はSS1の約4km地点でワイドになりバンクに接触。スピンしてスタックし、わずか数kmでリタイアという残念な結果に終わりました。また、Adrien Fourmaux(Hyundai i20 N Rally1)はSS2でフロントライトのパンクチャーを喫し、約90秒のタイムロスを被りました。他にもJon Armstrong(M-Sport Ford)がSS4でコースオフしてリタイアするなど、序盤からトップ争いが大きく崩れる展開となりました。こうしたトラブルにより、午前中の時点で大幅な順位変動が発生し、安定した走りを続けた選手が上位を占める形となりました。
午後の再走ステージでは、Thierry Neuville(Hyundai i20 N Rally1)がSS6とSS7で連続ベストタイムを記録して猛追しましたが、最終SS8でSami Pajari(Toyota GR Yaris Rally1)がベストタイムを刻んでリードを拡大。Takamoto Katsuta(Toyota GR Yaris Rally1)も着実にポジションを維持し、トップ3が僅差で並ぶ接戦となりました。路面の汚れや切られたライン上の石がグリップを低下させる中、ミスなくコントロールした選手が優位に立ちました。全体として、デイ1は「トリッキーな新ステージでの安定性」が鍵となった一日です。
1. Sami Pajari(Toyota GR Yaris Rally1)
朝は完全なベストペースではなかったものの、クレバーで安定した走りでミスを避け、SS4でベストタイムを記録して首位に浮上。午後も状況をコントロールし、SS8でベストタイムを刻んで13.7秒差のリードを築きました。WRCでの初オーバーナイトリードとなりました。「午前中は調子が完全ではなかったが、クレバーに走れた。午後は特に最後のステージで走りを楽しめた。まだ先は長いが、良い気分です」とコメントしています。
2. Thierry Neuville(Hyundai i20 N Rally1)
朝はマシンバランスに苦しみながらもSS3でベストタイムを記録して2位に浮上。午後にSS6・SS7で連続ベストを奪い猛追しましたが、最終ステージでタイムを落として2位で終了。トップとの差は13.7秒です。「今日は予想より良い一日だった。トリッキーなコンディションで運転とセットアップを工夫し、戦いに留まれた。長い間こうした速い走りができていなかったので、ポジティブに明日につなげたい」と語っています。
3. Takamoto Katsuta(Toyota GR Yaris Rally1)
朝のSS1でSolbergのストップ車両を目撃しリスクを抑えつつ、徐々にペースを上げました。SS8で2番手タイムを記録し、Neuvilleとの差を0.9秒に縮めて3位で好位置をキープ。TGR-WRTのマニュファクチャラーズポイント獲得を意識した安定走行が光りました。「午前中のハプニングでチームが厳しい状況だったが、自分はグリップ変化に対応しながらコントロールできた。フィーリングに満足している。明日はさらに厳しくなるかもしれない」とコメントしています。
4. Hayden Paddon(Hyundai i20 N Rally1)
クロアチア・ラリー初参加ながら、滑りやすい路面でリスクを抑えた堅実な走りで4位を獲得。午後にセットアップ変更でペースを向上させました。「予想以上に良い位置。リスクを取った選手のトラブルを見て、安全に走った。午後から自然に感じるようになり、自信が増してきた」と振り返っています。
5. Adrien Fourmaux(Hyundai i20 N Rally1)
SS2のパンクチャーで約90秒を失い、前半の好位置から後退しましたが、午後に時間を挽回して5位で終了。「パンクがなければもっと戦えていた。今日はクリーンに走り、バランスを探った。ターマックはチームの強みではないが、Toyotaに対して良いパフォーマンスを示せた」とコメントしています。
6. Yohan Rossel(Lancia Ypsilon HF Rally2)
WRC2クラスで首位に立ち、総合6位。複数発生したパンクチャーやポジション変動の中で安定した走りを披露しました。
7. Nikolay Gryazin(Lancia Ypsilon HF Rally2)
WRC2で2位(総合7位)。Rosselに22.1秒差で続き、クラス上位をキープ。
8. Alejandro Cachón(Toyota GR Yaris Rally2)
WRC2で3位(総合8位)。GR Yaris Rally2で好走を見せました。
9. L. Rossel(Citroën C3 Rally2)
総合9位でクラス上位争いに加わっています。
10. Roope Korhonen(Toyota GR Yaris Rally2)
WRC2で5位相当(総合10位)。
競技2日目となる11日土曜日のデイ2は、リエカの東側エリアが戦いの舞台になります。デイ2はミッドデイサービスの設定がなく、古都「カルロヴァツ」に設定されたタイヤフィッティングゾーンでの15分間の簡易的な整備作業のみで、4本のステージを午前と午後で各2回走行。4本のステージのうち3本は、過去に使用されたことのあるステージとなります。8本のステージの合計距離は115.96km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は409.13kmとなります。
End of day one (Friday):
1 Sami Pajari/Marko Salminen (Toyota GR YARIS Rally1) 1h12m18.5s
2 Thierry Neuville/Martijn Wydaeghe (Hyundai i20 N Rally1) +13.7s
3 Takamoto Katsuta/Aaron Johnston (Toyota GR YARIS Rally1) +14.6s
4 Hayden Paddon/John Kennard (Hyundai i20 N Rally1) +1m15.0s
5 Adrien Fourmaux/Alexandre Coria (Hyundai i20 N Rally1) +1m54.6s
6 Yohan Rossel/Arnaud Dunand (Lancia Ypsilon Rally2 HF Integrale) +2m45.9s
7 Nikolay Gryazin/Konstantin Aleksandrov (Lancia Ypsilon Rally2 HF Integrale) +3m08.0s
8 Alejandro Cachón/Borja Rozada (Toyota GR Yaris Rally2) +3m27.9s
9 Léo Rossel/Guillaume Mercoiret (Citroën C3 Rally2) +3m35.1s
10 Roope Korhonen/Anssi Viinikka (Toyota GR Yaris Rally2) +3m47.0s