
ラリー・エストニアの最終日は、前日と同様タルトゥのサービスパークの南側エリアが戦いの舞台に。森林地帯で3本合計60.19kmのステージを、サービスを挟むことなく走行しましたが、この日の3つのステージは、すべての参加チームにとって未知の領域でした。完全新規のヘッレヌルマ(SS18、11.79km)、その後週末で2番目に長いステージであるカーリク(SS19/20、24.20km)の2周回が続きました。ステージの上空には朝から雲が広がり、小雨が降る中競技がスタート。今年初めて使用された1本目のSS18「ヘッレヌルマ」の路面は湿り気を帯び、一部には水溜まりができている区間もありました。
前日、4本のベストタイムを記録し、総合2位のオィット・タナックに21.1秒差を築き首位の座を守ったオリバーは、SS18でベストタイムを記録。さらに、以前「マエキュラ」の一部として使用されたSS19「カーリック1」で今大会9回目となるベストタイムを刻み、総合2位タナックとの差を26.3秒とさらに大きく拡げました。そして迎えた最終のパワーステージ、SS20「カーリック2」をソルベルグは3番手タイムで締めくくり、GR YARIS Rally1で初めて出場したラリー・エストニアで、記念すべきWRC初優勝を飾りました。
2022年までにヒョンデで12回トップカテゴリー車両でWRCに出場、13回目の今回ついに初ポディウムを獲得、そしてポディウムの最上段に立ちました。

オリバーの父親、2003年のWRCチャンピオンであるペター・ソルベルグが2005年のラリーGBで最後に優勝してから約20年。ソルベルグ・ファミリーは、ロバンペラ・ファミリーに続き、親子2代でのWRC優勝を達成しました。 23才というオリバーのWRC初優勝年齢は、ロバンペラ、そしてTGR-WRTのチーム代表であるヤリ-マティ・ラトバラに次ぐ史上最年少記録です。また、トヨタのクルマでWRCを制したドライバーとしては、1973年にアメリカの「プレス・オン・リガードレス・ラリー」で優勝したワルター・ボイスから数えて16人目となります。なお、オリバーは日曜日のステージの合計タイムのみで競われる「スーパーサンデー」も制し、パワーステージと合わせて8ポイントのエクストラポイントを獲得しました。

Oliver Solberg
最高に素晴らしい週末でした。何年も夢見てきたことですし、この瞬間のために努力を続けてきたので、圧倒的な喜びを感じています。トヨタがこの機会を与えてくれたこと、この素晴らしいクルマで自分の力を証明し、楽しむチャンスを与えてくれたことに心から感謝します。また、乗りやすいクルマに仕上げてくれた、テストチームのスタッフにも感謝します。子供の頃からのヒーローであり、父と共に憧れの対象だったユハと共に表彰台に立ち、勝利を祝うことができるとは思いませんでした。この週末、自分を冷静に保ち、適切な指示を与えてくれたユハのサポートに感謝しています。人生最良の時間を過ごすことができました。ありがとうございます!

Juha Kankkunen
この週末のオリバーの戦いは本当に信じられないようなものでした。ステアリングを握っている彼以上に、見守っている自分の方が緊張していたかもしれません。経験豊富なドライバーたちを相手に、彼は非常にクリーンな走りを披露してくれました。彼らのようなドライバーが後方から激しくプレッシャーをかけてくる状況では、誰だって少しはプレッシャーを感じるものですが、オリバーは非常に上手く自分をコントロールしました。このような機会を提供し、彼がそれをうまく活かしたのを見ることができたこと、そしてそれがトヨタにとって100回目のWRC優勝になったことも、私たちにとって大きな喜びです。また、カッレがパワーステージで優勝できたのも良かったと思います。そして今、我々は次なるラリー・フィンランドに集中し、ホームラリーで力強い走りができるように努力を続けます。
Akio Toyoda
オリバー、エリオット、優勝おめでとう!
3年前のベルギー。暫定表彰式会場でヒョンデのドライビングスーツを着たオリバーに会いました。i20から降りてきた彼の視線の先にいたのはレジェンド、ユハ・カンクネン。レジェンドとのツーショットを撮りたい一心の彼は、途中にいた私に“撮ってくれ”とスマホを渡して、ユハのところへまっしぐら。私は腰をかがめ、ユハとオリバーのツーショットを撮ってあげました。その後、お父さんからは“ありがとう”と言ってもらいましたが、オリバー本人からは、はにかんだ笑顔だけだったような…。証拠映像も残っているので、このあと私のオフィシャルInstagramにあげておきます。
今日のオリバーの勝利は、写真を撮ってあげた私への“3年越しのお礼”として受けとらせていただきました。今度、もし私の目の前でオリバーが勝利したら、表彰式会場で私が駆け寄っていくので、私とツーショットを撮ってください! そこにユハもいたら、ユハに撮ってもらいましょう!
ユハは、今回はじめてGR YARIS Rally1に乗るオリバーにさまざまなアドバイスをしてくれていたとチームから聞ききました。ユハ、ありがとう。TOYOTA GAZOO Racingのスーツを着たオリバーと、今日またツーショット写真を撮ってあげてください。
次戦はホームラリーです。支えてくれるユバスキュラの皆さんのためにも最高のラリーをしましょう! チームのみんな、よろしく頼みます!
チームのメカニックたちが土曜日の夜、予防的なエンジン交換をわずか43分で完了させるという驚異的な努力の末、タナクは日曜日のステージに復帰し、2位を固めることを目標に掲げた。 新コースのヘレンウルメステージで圧倒的な走りを披露した地元ヒーローは、ラリーリーダーのオリバー・ソルベルグに1.6秒差でフィニッシュ。日曜日の7ポイントを加え、ラリー合計17ポイントとなったタナクは、1ポイント差でチャンピオンシップランキングのトップに躍り出ました。
最終日に懸かるものを理解していたヌービルは、3月のサファリ・ラリー・ケニア以来の初ポディウムフィニッシュを確実にするため、冷静かつ落ち着いてアプローチ。 最初のステージでのジャンプスタートにより、ベルギーのドライバーは10秒のタイムペナルティを科せられ不利な立場に立たされたが、継続的な安定感と確立されたリードにより、ライバルを寄せ付けないことができた。ヌービルの努力は、18ポイントの週末ポイントと、まさにふさわしい3位という形で報われた。
Ott Tänak
この週末は最高の成果を得られたと思います。土曜朝の私のミスに関わらず、オリバーは依然として破格の強さでした。厳しい週末になることは予想していましたし、エストニアの道路から最大限のパフォーマンスを引き出すのは難しいとわかっていました。これらの道路は超高速で大きなジャンプもあり、良いバランスと完璧なリズムが不可欠です。ここで学んだことをフィンランドに活かすことができます。 チャンピオンシップのリードでフィンランドに向かうことができ嬉しく思っています。そして、コースの先頭を切る感覚がどうなるか、楽しみにしています。
Thierry Neuville
全体的に、この週末の私たちの結果は満足のいくものでした。金曜日から車に慣れることができましたが、それでも改善すべき点を見つけることができました。 チャンピオンシップのリードに少し近づきましたが、オットとカレに比べてポイントで数ポイント失いました。完璧な週末ではありませんでしたが、それでもポディウムに戻れたことは嬉しく思っています。フィンランドが間近に迫っているので、改善が必要な点を重点的に取り組み、そこでどこまでできるか試してみます。
WRC次戦は7月31日(木)から8月3日(日)にかけて、フィンランドのユバスキュラを中心に開催される第9戦「ラリー・フィンランド」です。ラリー・フィンランドは、ラリー・エストニアと同様ハイスピード・グラベルラリーですが、エストニア以上にジャンプやクレスト(丘越え)が多く、路面もやや硬いことが特徴です。
PROVISIONAL FINAL CLASSIFICATION, RALLY ESTONIA
1 Oliver Solberg/Elliott Edmondson (Toyota GR YARIS Rally1) 2h36m35.1s
2 Ott Tänak/Martin Järveoja (Hyundai i20 N Rally1) +25.2s
3 Thierry Neuville/Martijn Wydaeghe (Hyundai i20 N Rally1) +48.3s
4 Kalle Rovanperä/Jonne Halttunen (Toyota GR YARIS Rally1) +55.6s
5 Adrien Fourmaux/Alexandre Coria (Hyundai i20 N Rally1) +1m33.0s
6 Elfyn Evans/Scott Martin (Toyota GR YARIS Rally1) +1m43.4s
7 Sami Pajari/Marko Salminen (Toyota GR YARIS Rally1) +2m55.6s
8 Mārtiņš Sesks/Renārs Francis (Ford Puma Rally1) +3m36.0s
9 Josh McErlean/Eoin Treacy (Ford Puma Rally1) +5m29.8s
10 Grégoire Munster/Louis Louka (Ford Puma Rally1) +5m57.5s
2025 FIA World Rally Championship for drivers after round 8
1 Ott Tänak 162 points
2 Elfyn Evans 161
3 Sébastien Ogier 141
4 Kalle Rovanperä 138
5 Thierry Neuville 114
6 Adrien Fourmaux 71
7 Takamoto Katsuta 63
8 Oliver Solberg 52
9 Sami Pajari 38
10 Grégoire Munster 19
2025 FIA World Rally Championship for manufacturers after round 8
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 399 points
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 347
3 M-Sport Ford World Rally Team 111
4 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 68





