
WRC初開催となるラリー・デル・パラグアイは、南米パラグアイの南東部に位置する「エンカルナシオン」にサービスパークが設けられ、その周辺のグラベルロードが戦いの舞台に。ラリーはまず28日(木)の午前中にシェイクダウンが行なわれ、WRCではヨーロッパ圏外でのテストが禁止されているため、チームとドライバーは初めて走行するパラグアイの道にクルマのセッティングを最適化するべく、シェイクダウンの走行セッションを有効活用しました。その後、夜7時過ぎからパラナ河畔のサービスパークのすぐ横でセレモニアルスタートが行なわれ、パラグアイ初のWRCイベントが華やかに開幕しました。
競技は29日(金)の朝から始まり、サービスパークの東側エリアを中心にデイ1として4本のステージを、エンカルナシオンでのミッドデイサービスを挟んで各2回走行。8本のステージの合計距離は140.90kmと、3日間で最長の一日でした。赤土の路面が特徴的なラリー・デル・パラグアイのステージは、全体的に非常にハイスピードながら、金曜日の道は大きな凹凸により上下方向に大きな力がかかる難しい区間も多くあり、クルマとタイヤにとってハードな一日になりました。
そしてパラグアイでのWRC初開催は多くの関係者を驚かせました。過酷な圧縮路と刻々と変化するグリップがクルーを完全に不意打ちにし、その過酷さはあまりにも厳しく、ロバンペラは着地時に「背骨が軋む音が聞こえた」と冗談を飛ばすほどでした。
首位をキープしていたアドリアン・フルモーでしたが、初日終盤にトラブルに見舞われ、カッレ・ロバンペラが予想外の首位を継承する結果となりました。
フランス人ドライバーのフルモーは金曜日を支配し、終日リードを保つ落ち着いた走りでWRC初優勝への道を歩み始めた。しかし最終ステージから2つ前の区間、ゴールまであと3.5kmの地点で岩に接触し、ヒュンダイi20 N Rally1のタイヤがパンク。ロバンペラに首位を明け渡す結果となってしまいました。
Adrien Fourmaux
今日はパンクが2回あったものの、良い午後を過ごせた。2回目のパンクは、見通しの悪いコーナーの先にあった岩が原因で、避けるには遅すぎた。多少の時間を失ったものの、明日のスタート位置にとって重要な2位をキープできた。今日のパフォーマンスには概ね満足しているが、差はまだ非常に小さい。明日も同じペースを維持し、カッレに追いつくよう努めなければならない。
ロバンペラは首位を引き継ぎましたが、パラグアイの赤土のグラベル路での苦戦を隠そうとはしなませんでした。2度の世界チャンピオンは、自身のパフォーマンスが期待を大きく下回ったと認めながらも、フルモーに7.1秒差をつけてフィニッシュ。
Kalle Rovanperä
首位に立つことができて良かったです。今日は初めて走るトリッキーなステージが続きました。何とか速く走ろうと試みたのですが、朝最初のステージ以外は自分たちが望んでいたペースに届きませんでした。しかしながら、多くのライバルが問題に見舞われる中、自分たちはトラブルを回避することができ、結果的に報われました。明日のステージは路面のクリーニングの影響がより大きくなることが予想されるので、ベストな出走順を得られたことを嬉しく思いますし、このアドバンテージをうまく活かしたいと思います。
オット・タナクは3位につけ、チームメイトのフルモーにわずか0.5秒差で迫っています。その後方ではセバスチャン・オジエが、この日最も注目すべき展開を見せた。大惨事から巻き返し、総合4位を獲得。8度のチャンピオンはSS2でパンクにより30秒以上を失ったが、その後3ステージを制する驚異的な追い上げを見せ、タイトル獲得の可能性を繋いでいます。
選手権首位のエルフィン・エバンスは、ロバンペラに3ポイント差をつけてラリーをスタートしたが、「このコンディションでの運転方法を忘れてしまった」と語った末、フィンランド人チームメイトに21.1秒差をつけられてフィニッシュしています。
ティエリー・ヌービルは6位に沈み、「懸命に戦っている」と認めつつも、オーバーシュートとスピンを喫した後はペースも安定感も見出せなかった。彼はM-Sportフォード・プーマRally1のエース、ジョシュ・マッカーランを上回った一方、サミ・パヤリはSS7でタイヤ交換のため停止したため8位に後退。
勝田貴元はコースアウトして後輪を失ったためGRヤリス・ラリー1をリタイアせざるを得なかった。一方グレゴワール・ミャンスターはSS1でコースアウトし、首位から約50分遅れに沈んだ。この不運によりWRC2の有望株ヨハン・ロセルとニコライ・グリャージンが総合トップ10入りを果たしています。
競技2日目となる8月30日(土)のデイ2は、サービスパークの西北エリアで3本のステージをミッドデイサービスを挟んで各2回走行。デイ2のステージは、デイ1とはキャラクターがやや異なり、全体的にはよりスムースながら、滑りやすい路面が特徴です。また、ミッドデイサービスの直前には、SSS12として「アウトドロモ」のスーパーSSを走ります。7本のステージの合計距離は112.78km、リエゾン(移動区間)を含めた一日の総走行距離は419.26kmとなります。
End of day one (Friday):
1 Kalle Rovanperä/Jonne Halttunen (Toyota GR YARIS Rally1) 1h16m13.3s
2 Adrien Fourmaux/Alexandre Coria (Hyundai i20 N Rally1) +7.1s
3 Ott Tänak/Martin Järveoja (Hyundai i20 N Rally1) +7.6s
4 Sébastien Ogier/Vincent Landais (Toyota GR YARIS Rally1) +17.8s
5 Elfyn Evans/Scott Martin (Toyota GR YARIS Rally1) +21.1s
6 Thierry Neuville/Martijn Wydaeghe (Hyundai i20 N Rally1) +25.7s
7 Josh McErlean/Eoin Treacy (Ford Puma Rally1) +1m18.4s
8 Sami Pajari/Marko Salminen (Toyota GR YARIS Rally1) +2m24.2s
9 Yohan Rossel/Arnaud Dunand (Citroën C3 Rally2) +2m57.6s
10 Nikolay Gryazin/Konstantin Aleksandrov (Škoda Fabia RS Rally2) +3m06.7s





