
ラリージャパンの最終日は愛知県が戦いの舞台となり「ヌカタ」、「レイク・ミカワコ」というラリージャパンの定番ステージを2本走った後、岡崎市の中央総合公園で「オカザキSSS」を2本連続で走行。その後、TFZ(タイヤフィッティングゾーン)を経て午後は「ヌカタ」と「レイク・ミカワコ」を再走しました。4本のステージの合計距離は72.38km、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は198.61kmでした。前日までとは一転、日曜日は朝から雨が降り続け、路面コンディションはウェット。全車がウェットタイヤを装着してステージに臨みました。
セバスチャン・オジェの圧勝で、2025年FIA世界ラリー選手権タイトル争いをサウジアラビア最終戦までもつれ込む三つ巴の戦いに発展させました。
8度の世界チャンピオンは、雨に濡れた最終ステージで、チームメイトのポイントリーダー、エルフィン・エヴァンスをかわし、11.6秒の差で優勝、ポイント差を3ポイントに縮めました。またカッレ・ロバンペラも6位フィニッシュし、首位から24ポイント差となった事で、トヨタの3人のドライバー同士のタイトル争いが最終戦までもつれ込む事となった一方で、オット・タナックのタイトル獲得のわずかな望みは絶たれてしまいました。
愛知と岐阜周辺の最後の 6 ステージは、降り続く雨により、水たまりと化していたアスファルトの道路で、エヴァンスは 6.5 秒の遅れでスタートしたこの日最初の額田で 、フランス人ドライバーを追い抜き、反撃の態勢を整えたかに見えましたが、次の三河湖ステージでオジェが再び優位に立ちました。
二人が僅差のバトルを続ける背後ではドラマが続いていました。フルモーとコリアのラリージャパンでの有望な挑戦は、この日最初のステージ早々に幕を閉じる事になりました。霧がフルモーの視界を遮り、路肩から外れてた事で樹木に衝突、このミスで車両は深刻な損傷を受け、助手席ドアが脱落した上にタイムカードも紛失。ステージ終了後にリタイアを余儀なくされました。フルモーはラリーの大半でヒュンダイ・モータースポーツ勢最高位を走行しており、このターマックでの経験を2026年に持ち越すことになります。
フルモーの不運によりサミ・パヤリがキャリア初の表彰台を獲得。23歳のフィンランド人ドライバーにとって飛躍の年を締めくくる結果となり、トヨタにとって地元での1-2-3フィニッシュを確定させました。
エヴァンスはオジェのすぐ後ろにつけていましたが、2つの岡崎スーパースペシャルステージの最初のステージで、芝生の土手を滑り落ちてから復帰した事でリズムが損なわれ、クリーンな走りを続けるオジェは8.3秒の差をさらに拡大、最後の2つのステージでさらに差を広げ、決定的な勝利を確実なものにしました。
パヤリは慎重な走りで3位を確保。タナクは朝の雨でパンクに見舞われたもののSS15を制しました。M-Sportフォードのグレゴワール・ミュンスターは自己最高タイとなる総合5位を獲得。
DAY2でクルマにダメージを負って大きく遅れながらも、総合7位まで順位を挽回していたロバンペラは、総合6位でフィニッシュ。パワーステージ3番手、スーパーサンデー3位による合計6ポイントのボーナスを獲得し、ドライバー選手権では首位のエバンスと24ポイント差の3位に。タイトル獲得の望みを最終戦のラリー・サウジアラビアへと繋ぎました。
首位争いに加わりながらもデイ3でのクラッシュによりデイリタイアとなった勝田は、修理されたクルマで再出走。大勢の観客が見守る中SS17と18でベストタイムを刻み、スーパーサンデーでは5位を獲得し、総合17位でホームイベントを終えました。
オリバー・ソルベルグはラリー2仕様のトヨタGRヤリスで7位。一方、アレハンドロ・カチョンはニコライ・グリャージンを抑えてWRC2カテゴリーの栄冠を手にしています。ヤン・ソランスは最終ステージの一つ前でスピンしたためグリヤジンに抜かれましたがトップ10入りを果たしています。
イタリアの若手マッテオ・フォンターナもFord Fiesta Rally3でWRC3カテゴリー2位に入り、2025年WRC3総合タイトルを獲得するに十分な成績を収めました。
Sébastien Ogier

我々にとってパーフェクトな結果です。トヨタの本拠地である日本で、このラリーを制することができて本当に嬉しいです。非常にハードな週末でしたし、特に最終日は過酷なコンディションでの戦いでした。チームが今回も素晴らしいクルマを提供してくれたことに心から感謝します。なぜなら、今日は全く異なるセッティングで、全く異なるラリーをスタートしたにも関わらず、即座にクルマが性能を発揮したからです。週末を通してエルフィンに追い詰められましたが、偉大な勝利は、偉大なライバルがいるからこそ生まれるのです。
Elfyn Evans
全体的に楽しく、力強く戦うことができた週末でした。また、チームのホームである日本で、今回もまた素晴らしい結果を残すことができました。今日のような厳しいコンディションで、このような激しい戦いをすることは容易ではありませんでした。私たちはベストを尽くしましたが、セブは本当に素晴らしい走りを見せ、今日彼を打ち負かすのは困難でした。セブと自分の差は僅かで、特にパワーステージでは僅差でした。かなりのポイントを失ったような気がしますが、それが競技というものですし、最終戦を終えてみるまで何も分かりません。
Sami Pajari
本当に、本当に素晴らしい結果です。初めての表彰台はいつだって特別なものですが、日本での勝利、そしてトヨタの本拠地で1-2-3フィニッシュを達成できたのはさらに特別なことです。今日は非常にトリッキーなコンディションでしたが、最初の2日間はペースが良く、今日は完走を確実なものにするため、ある程度マージンを持って走りました。本当に良いイベントでしたし、この結果にはとても満足しています。チーム全員が素晴らしい仕事をしていますし、皆で良い方向に進んでいると思います。
Kalle Rovanperä
自分たちにとっては全体的に難しい週末でした。今日は大雨と水たまりによって、非常に厳しいコンディションになりました。日曜日に追加できるポイントを獲得するためにできる限りのことをしましたが、自分たちが望んだような週末、そして結果にはなりませんでした。今年はここまで少し安定性に欠けていますが、最終戦でもう一度チャンスがあります。良い結果を残せるように努力して臨み、結果を待ちたいと思います。
Takamoto Katsuta

ホームラリーでの、チームとファンの皆さんからの大きなサポートに感謝しています。最終的に良い結果を残すことができず申し訳ありませんが、今週は多くの応援を目にし、心から感謝しています。また、クルマを直してくれたチームにも感謝しています。今日はファンの皆さんのためにベストを尽くして走りました。自信はありましたしペースも良かったのですが、パワーステージは水たまりが多く、うまく走ることができませんでした。将来、ここで良い結果を残せる可能性は十分あると思いますので、これからも挑戦し続けます。
WRC次戦は、11月26日(木)から29日(日)にかけて、中東のサウジアラビアで初めて開催される最終戦「ラリー・サウジアラビア」です。ラリーはサウジアラビア西部の大都市ジッダを中心に行なわれ、路面はグラベル(未舗装路)。ジッダ周辺の山岳エリア、火山地帯、砂漠の道が戦いの舞台となります。
PROVISIONAL FINAL CLASSIFICATION, RALLY JAPAN
1 Sébastien Ogier/Vincent Landais (Toyota GR YARIS Rally1) 3h21m08.9s
2 Elfyn Evans/Scott Martin (Toyota GR YARIS Rally1) +11.6s
3 Sami Pajari/Marko Salminen (Toyota GR YARIS Rally1) +2m16.6s
4 Ott Tänak/Martin Järveoja (Hyundai i20 N Rally1) +3m18.1s
5 Grégoire Munster/Louis Louka (Ford Puma Rally1) +6m48.7s
6 Kalle Rovanperä/Jonne Halttunen (Toyota GR YARIS Rally1) +7m01.5s
7 Oliver Solberg/Elliott Edmondson (Toyota GR Yaris Rally2) +9m35.5s
8 Alejandro Cachón/Borja Rozada (Toyota GR Yaris Rally2) +10m41.6s
9 Nikolay Gryazin/Konstantin Aleksandrov (Škoda Fabia RS Rally2) +11m36.2s
10 Jan Solans/Rodrigo Sanjuan (Toyota GR Yaris Rally2) +12m26.0s
2025 FIA World Rally Championship for drivers after round 13:
1 Elfyn Evans 272 points
2 Sébastien Ogier 269
3 Kalle Rovanperä 248
4 Ott Tänak 213
5 Thierry Neuville 166
6 Takamoto Katsuta 111
7 Adrien Fourmaux 96
8 Sami Pajari 94
9 Oliver Solberg 70
10 Grégoire Munster 36
2025 FIA World Rally Championship for manufacturers after round 13:
1 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team 692 points
2 Hyundai Shell Mobis World Rally Team 464
3 M-Sport Ford World Rally Team 191
4 TOYOTA GAZOO Racing WRT2 145





