世界ラリー選手権(WRC)において、ドライバーにとって最大の栄誉であり、同時に最も重いプレッシャーがかかる舞台、それが**「母国ラリー(ホームイベント)」**です。
地元の熱狂的な大声援、走り慣れているはずの慣れ親しんだ路面。しかし、WRCの歴史を振り返ると、天才と呼ばれる歴代王者たちでさえ、地元ファンの前で表彰台の頂点に立つこと(総合優勝)は容易ではありませんでした。「地元での勝利」には、魔物が潜んでいると言っても過言ではないのです。
現在、TOYOTA GAZOO Racing WRTから参戦し、世界にその実力を証明している勝田貴元選手。彼にとっても秋に開催される「ラリージャパン」は特別な一戦です。すでにWRCでの優勝経験を持つ勝田選手ですが、まだ母国ラリーでの優勝には届いておらず、毎シーズン過酷な戦いを繰り広げています。
では、過去のレジェンドたちは一体**「何回目の挑戦」で母国の頂点を極めたのでしょうか?**
本記事では、最高峰カテゴリーで母国ラリー初優勝を飾るまでに要した参戦回数を徹底調査!
驚異的なスピードで地元を制した「神速の天才」から、何度も壁に跳ね返されながら悲願を達成した「不屈の苦労人」までランキング形式でご紹介します。さらに、驚くべき実力を持ちながら**「一度も母国で勝てなかった悲運の名ドライバー」**のドラマにも迫ります。
母国WRCラリー初優勝への軌跡:挑戦回数ランキング
※データは下位クラスを除外した「トップカテゴリー(総合優勝を狙えるワークスマシン等)」での参戦回数を基準に集計しています。
▼ 最も多くの挑戦を必要としたドライバー(難攻不落の母国)
- 1位:カルロス・サインツ(スペイン) 11回目の挑戦
地元の熱狂的な大声援を受けながらも、マシントラブルやクラッシュに阻まれ続けた「無冠の帝王」時代。フォードやトヨタのトップマシンで挑み続け、トップクラスでの母国参戦11回目となった1992年のラリー・カタロニアでついに悲願の初優勝を飾りました。
- 2位:ヤリ=マティ・ラトバラ(フィンランド) 8回目の挑戦
超高速グラベル「ラリー・フィンランド」。フォードのワークス(WRカー)に抜擢されてからも、地元のプレッシャーや一瞬のミスに泣かされ続けました。トップクラスで8回目の挑戦となった2010年、ついに最高段へと登り詰めました。
- 3位:エルフィン・エバンス(イギリス) 5回目の挑戦
ウェールズ出身のエバンスは、Mスポーツのフォード・フィエスタRS WRC等のトップマシンで母国ラリー・GBに挑戦。トップクラス参戦5回目となった2017年、地元イギリスのファンが待ち望んだ感動の初優勝を達成しました。
▼ 最も少ない挑戦で優勝したドライバー(神速の母国制覇)
- 1位:セバスチャン・ローブ(フランス) 1回目の挑戦
前人未到の9連覇を成し遂げた絶対王者。フランスのツール・ド・コルスに、トップカテゴリーであるシトロエン・クサラWRCで初めて挑んだ2005年、なんと全ステージトップタイムという完璧すぎる完全勝利で、初挑戦にして母国を支配しました。
- 2位:トミ・マキネン(フィンランド) 2回目の挑戦
1994年、フォードのワークスマシンを借りて地元のトップクラスに挑んだ自身2回目でいきなり総合優勝を達成。この衝撃的な走りが、翌年からの三菱ワークス加入、精度高い世界王座4連覇の伝説へと繋がっていきました。
- 3位:セバスチャン・オジエ(フランス) 2回目の挑戦
シトロエンのトップチームとしてフランス本土(アルザス)のホームイベントに挑み、トップクラスわずか2回目(2011年)で総合優勝。チームメイトであったローブとの激しい身内バトルを制し、新時代の到来を告げました。
1990年代以降:トップクラスで一度も母国ラリーで勝てなかった実力者
- ダニ・ソルド(スペイン) 最高位 2位
シトロエンやヒョンデのWRカー/Rally1を駆り、長年トップ戦線で活躍したターマックの名手。地元のラリー・カタロニアではトップクラスで何度も2位表彰台を獲得しましたが、チームメイトであったローブやオジエの壁が厚く、ついに母国での頂点には届きませんでした。
- トニ・ガルデマイスター(フィンランド) 最高位 2位
セアト、フォード、シュコダ、スズキなど数々のワークスチームのトップカテゴリーを渡り歩いた実力派。地元ラリー・フィンランドでは、2005年にフォード・フォーカスWRCで総合2位に食い込むなど素晴らしい速さを見せましたが、あと一歩で優勝には届きませんでした。
Editer
我らが勝田貴元選手は、すでに世界屈指の難関ラリーであるケニアやクロアチアをRally1マシンで制し、その実力を証明しています。現在のラリージャパンは非常にトリッキーな超難関ターマックであり、トップクラスでの母国制覇はサインツのように何年もかかる大器晩成型のドラマになるか、次回での電撃勝利になるか。ファンサイトとして、彼が歴史に名を刻むその日を全力で追いかけます