勝田貴元は、「ラリージャパン2023」に、コ・ドライバーのアーロン・ジョンストンと共に出場。アクシデントによる序盤の大きな遅れを挽回し、総合5位でフィニッシュ。ドライバー選手権7位で2023年シーズンを締めくくりました。
昨年大会で勝田は、チームメイトの元世界王者セバスチャン・オジエとの戦いを制し、GR YARIS Rally1 HYBRID最上位となる総合3位を獲得。2年目のホームイベントとなる今年は、昨年以上のリザルトが期待されていました。
地元開催の大きなプレッシャーをエネルギーに変え、16日(木)の夜に豊田スタジアム内で行なわれたスーパーSSの1本目では、GR YARIS Rally1 HYBRIDトップの5番手タイムを記録。その勢いは、山岳地帯を舞台とするフルデイ初日となった17日(金)でも保たれ、オープニングのSS2では途中まで最速のペースで走行していました。ところが、ステージの中盤で大雨によりできていた水溜まりに足をとられ、クルマを木にヒット。フロントセクションにダメージを負い大幅にタイムを失ってしまいました。
勝田は一時総合31位まで順位を下げましたが、自力でクルマを何とか走れる状態にまで応急処置してサービスパークに帰還。チームはミッドデイサービスでクルマを修理し、勝田を午後のステージへと送り出しました。
午後の再走ステージでの勝田は、チームの貢献に報いるべく3ステージ連続でベストタイムを記録。一日の最後のスーパーSSを2番手タイムで走りきった結果、総合9位まで順位を挽回しました。
土曜日も勝田の勢いは衰えず、オープニングのSS9は途中で赤旗中断により全体ベストとなる救済タイムが与えられ、その後4本のベストタイムを刻み総合6位までポジションアップに成功しました。勝田はさらなる上の順位を目指し、最終日となる19日(日)のデイ4でも攻めの走りを続けました。そして、オープニングの2本のステージで2番手タイムを、3本目のSS19ではベストタイムを記録。オィット・タナック(Mスポーツ・フォード)を抜いて総合5位につけました。その時点で、総合4位のエサペッカ・ラッピ(ヒョンデ)との差は16.2秒。勝田は最後のステージまで全力で攻めきりましたが、差は20秒となり逆転は叶わず、総合5位でラリージャパンを、そして2023年シーズンを締めくくりました。
勝田貴元
本当に長く感じられる週末で、コンディションも決して簡単ではありませんでした。スピードの面では、ほぼ全てのステージでいいペースを発揮することができたので、この速さと自信を今後に繋げたいと思っています。もちろん、ラリー序盤に起こってしまったことは残念ですが、すぐに立ち直ることができました。ラリーウィークを通してクルマのフィーリングはとても良く、気持ちよく走ることができました。全力でプッシュできたのは、クルマを直してくれたチームのお陰です。最後の最後まで攻め続け、前のクルマに追いつくのは簡単ではなかったですが、最終的には総合5位を獲得することできました。次回こそ、いい結果を出したいと思います。チームの1-2-3フィニッシュはとても嬉しく、チーム全員におめでとうと言いたいです。また、あらゆる場所で応援してくれ、特別なエネルギーを与えてくれたファンの皆さんにも心から感謝しています。
ヤリ-マティ・ラトバラ(TOYOTA GAZOO Racing WRT チーム代表)
金曜日に不運なアクシデントに見舞われた貴元が、総合5位まで挽回したのは素晴らしかったです。彼は決して諦めず、最終日まで戦い続けました。最終的に総合4位には届きませんでしたが、この週末9回もベストタイムを記録したように、すぐに立ち直ってくれたのは良かったです。スピードの面では、これまでで最高のパフォーマンスを発揮したと思いますし、高いポテンシャルを持っていることを改めて証明しました。何度か連続でベストタイムを記録して、コンスタントに速く走れることを示したことは、明るい将来を感じさせるものでした。全体的に、貴元は今年大きなステップアップを果たしたと思います。シーズンの序盤は彼にとって厳しいものでしたが、後半は自信がついてきましたし、それは我々にとっても大きな励みになりました。