ERC Barum Czech Rally Zlín 2026 プレビュー

FIA European Rally Championship(ERC)2026シーズン第5戦「Barum Czech Rally Zlín」が、8月14日(金)から16日(日)にかけてチェコ共和国ズリーン周辺で開催されます。1984年からERCカレンダーにほぼ途切れなく名を連ねる伝統のオールアスファルトイベントで、高速林間路、村道の狭路、バンピーで時に荒れた路面、予測しにくい天候がドライバーとマシンを厳しく試す難関として知られます。競技距離は13ステージ合計205.79km、総距離は約787kmです。

イベントの歴史と特色

ズリーンはプラハから南へ約300kmの大学都市で、夜の街中スーパースペシャルステージ(SSS Zlín)は毎年多くの観客を集めます。1984年のERC初開催以来、地元ファンの熱気と欧州トップドライバーが集う雰囲気が特徴です。2021年に50周年を迎え、ERCとの契約は少なくとも2028年まで延長されています。

路面はスムーズな部分と荒れた部分が混在し、木立の多い区間では特に雨天時のグリップ変化が激しいとされています。地元ドライバーのレベルが高く、「現地勢の強さ」が海外勢にとって大きな壁になるのが伝統です。

今年のルートのポイント(過去との違い)

今年のルートは近年で比較的大きな変更が見られます。人気のあったBřezová、Helenkovice、Podhoranといったステージが外れ、新たにPohořelice、Troják、Semetínが加わりました。

•  金曜:夜のSSS1 Zlín(9.57km)でスタート

•  土曜:Pohořelice(12.51km)・Troják(25.59km・今年最長)・Bunč(18.04km)の2ループ

•  日曜:Pindula(18.01km)・Semetín(11.34km)・Kateřinice(12.62km、最終はパワーステージ)の2ループ

高速区間とテクニカルな区間がバランスよく配置され、夏の高温も予想される中、マシンの耐久性とドライバーの集中力が問われます。

選手権状況と注目ドライバー(公平にピックアップ)

現在のERCドライバーズ選手権は、The Racing Factoryのテーム・スニネン/アンッティ・ハーパラ(Škoda Fabia RS Rally2、Pirelli)が23ポイント差で首位。前戦Rally Polandで初優勝を飾り、ズリーンは初挑戦です。

スニネンは「ズリーンのステージについて多くの話を聞いてきた。だからこそポーランドで勝ち、選手権で良い位置を確保してチェコでは少し慎重に走りたかった。あの道は非常にトリッキーで、地元ドライバーのレベルは信じられないほど高い。表彰台は簡単ではない」とコメントしています。

2位にはLancia Corse HFのアンドレア・マベリーニ/バージニア・レンジ(Lancia Ypsilon Rally2 HF Integrale)。昨年ズリーン3位の実績があり、「正しい方向に進んでいる。改善できる点は1kmあたり0.1秒単位の細かいところだが、それが難しい。ズリーンで積み重ねていきたい」と語っています。Lanciaはチームズ選手権でも上位争いに絡んでいます。

3位は前年度チャンピオンのミコ・マルチック/シモン・ゴスポダルチク(Škoda Fabia RS Rally2、Michelin)。「ポーランドはシーズン序盤より良かった。その調子をBarumでも維持したい。ここでの自己ベストは5位。新記録を作れれば最高」と意気込みます。

地元チェコ勢も非常に強力です。

•  2013年ERCチャンピオンでズリーン通算12勝のヤン・コペツキー/イジー・ホボルカ(Agrotec Škoda)

•  2019 Junior ERC1チャンピオンのフィリップ・マレシュ(Toyota GR Yaris Rally2)

•  複数回ERCイベント優勝のヴァーツラフ・ペフ

•  エリック・カイス(Hyundai i20 N Rally2、MRF)

•  ステージウィナー経験のあるアダム・ブレジーク

その他の有力勢として、ズリーンで2度表彰台のシモン・ワーグナー、英国チャンピオンのウィリアム・クレイトン、ルーマニア複数回タイトルのシモーネ・テンペスティーニ(Team MRF Tyres)らが挙がります。2024年優勝者のドミニク・ストルジテスキーもエントリーしています(※事前情報ではポーランドでのクラッシュからの回復を優先して欠場との報道もありましたが、最新エントリーリストでは記載あり)。

日本人選手の参戦

日本人ドライバーとして福永修(Osamu Fukunaga)/才田美砂子(Misako Saida)組が、THREE FIVE MOTORSPORTからŠkoda Fabia RS Rally2で参戦します(スタート番号64)。ERCのオールアスファルト難関イベントに挑戦する日本人コンビとして注目です。

ERC Fiesta Rally3 Trophyなど下位クラス

ERC Fiesta Rally3 Trophyでは、フィンランドのヴィッレ・バタネンが7ポイント差で首位。アイルランドのケイシー・ジェイ・コールマン、チェコのペトル・カチーレク、同じくアイルランドのカルム・グラフィンらがタイトルを争います。最大30ポイントがかかるこのラウンドで順位変動が予想されます。優勝者にはJDS Machinery Rali CeredigionでのFiesta Rally2賞ドライブが用意されています。

Lancia Corse HFはRally4でも複数台を投入。Junior ERC/ERC4をリードするダビデ・ペサベント/アレッシオ・アンジェリをはじめ、サンドリン、デイ・チェチ、ダッラピッコラらがタイトル争いを続けます。

観戦方法

全ステージがRally.TVでライブ配信されます。現地時間を確認してご覧ください。

主要数字

•  ステージ数:13

•  競技距離:205.79km

•  総距離:787.12km

•  路面:アスファルト主体

高速とテクニカルが混在する伝統の難関イベントで、選手権争いはますます熱を帯びます。無事に完走し、良い結果を残すドライバーが誰になるのか、注目です。