ルノーが、1960年代のモータースポーツを象徴する一台を、完全電動の2シータークーペとして現代に蘇らせました。2026年9月24日にRenault Carwalkで披露され、10月12〜18日のパリ・モーターショーでも展示される「Renault 8 Gordini Concept」です。過去5年にわたってブランドの歴史を掘り起こしてきたワンオフ作品の最新作で、約15カ月後にオープン予定のRenault Collections博物館でも公開されます。
このコンセプトは、低重心でワイドなボディ、ラジカルなスタンス、270馬力の電動パワーユニットを備え、「現代のラリーカーそのもの」と表現される仕上がり。カフェレーサーの精神で不要なものを削ぎ落とし、クリーンで彫刻的なラインを追求しています。
1964年「ラ・ゴルド」が刻んだラリーの歴史
1964年に登場したオリジナルのRenault 8 Gordiniは、リアに95馬力のエンジンを積む後輪駆動モデル。手頃な価格で本格的なパフォーマンスを提供し、GTIブームの10年も前に「高性能を身近にした」一台でした。特徴的なブルーボディにダブルホワイトストライプは、すぐにアイコンとなりました。
ラリーでの活躍は登場直後から目覚ましく、特にTour de Corse(ツール・ド・コルス)では3連覇を達成しています。
• 1964年:ジャン・ヴィナティエ/マッソン組が総合優勝(3〜5位もGordiniが独占)
• 1965年:オルシーニ/カノニシ組が優勝
• 1966年:ジャン=フランソワ・ピオ組が優勝
さらに1967年のRallye Sanremoでピオ組が優勝、同年のRallye de Portugal初開催ではアルビーノ/ペレイラ組が勝利。1968年Rallye du Marocではジャン=ピエール・ニコラが優勝するなど、当時の強力なライバルを相手に数々の好成績を残しました。
「ラ・ゴルド」は単なるレースマシンではなく、ジャン・ラニョッティをはじめ、ギ・フレクラン、ジャン=リュック・テリアら後のフランスを代表するドライバーたちを育てた「トレーニングカー」でもありました。厳しい後輪駆動の特性が、多くの才能を磨いたのです。Amédée Gordini(アメディ・ゴルディーニ)という「魔法使い」が平凡なエンジンを競走馬に変えた精神は、今もルノーのDNAに息づいています。
モダンラリーカーを思わせるデザイン
コンセプトカーは全長4.12m、全幅1.88m、全高1.27mのコンパクトでダイナミックなプロポーション。フロント19インチ、リア20インチのホイールを履き、現代のラリーカーのようにしっかりと路面に接地します。フロントの攻撃的なV字デザインとワイドなリアエンドが、リアマウントの電動モーターを視覚的に強調。
オリジナルのラリーバージョンから受け継いだ6つの丸型ヘッドライトや、構造的な要素に進化したダブルホワイトストライプ、シェル型サイドミラーなど、細部にも歴史への敬意が込められています。インテリアはブラッシュドアルミニウムとアルカンターラを基調に、運転に集中できるミニマルな空間を実現しています。
ルノーのデザイン担当副社長アレクサンドル・マルヴァル氏はこう語ります。
「私たちは、遺産と現代を融合させ、昨日のアイコンと未来を結びつけることで感情を呼び起こしたかった。このクーペの目的は、すべてのクルマ愛好家の想像力を刺激すること。感情とはノスタルジーではなく、クルマへの本物の情熱です。」
Renault 8 Gordini Conceptは、後輪駆動の楽しさとラリー由来のスピリットを、電動時代に再解釈した一台です。パリ・モーターショーで実車を前にすれば、その「本物の情熱」をきっと感じられるでしょう。